【酸欠の資格】酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習

最近暇になったので(笑)、講習を3日連続で受講してきました。受講した講習は、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者です。講習なのですが、筆記と実技試験があります。当記事では、酸欠講習の体験談や感想を書いていきます。

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者の教科書。教科書に沿って講習が行われる。

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者とは

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者は、酸素が足りない場所や一定以上の硫化水素がある場所で作業する際の責任者(酸素欠乏危険作業主任者)に必要な資格です。

酸素欠乏作業(酸欠)と酸素欠乏・硫化水素危険作業(酸硫)で講習が分かれています。今は酸欠講習と言うと、基本的に酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者になります。酸硫は、酸欠に硫化水素の講習がプラスになっただけです。

多くの現場作業で必要な資格です。特に狭い場所や穴に入って作業したりする場合は必須です。

講習で取れる資格ですが、非常に重要な資格です。酸欠で死亡事故が起こったりすると、有資格者(酸素欠乏危険作業主任者)が責任を問われる立場になります。

実際の現場では、有資格者が責任者という形で作業することになります。よく考えてみると、責任重大です。

そもそも酸欠ってなに??

酸欠と硫化水素で硫化水素の方は分かりにくいかもしれません。硫化水素は、高校の化学で学ぶ毒性のガスですね。温泉の腐った卵の臭いです。『硫化水素を吸うと有毒だから気を付けてね♡』ということです。

硫化水素の濃度が10ppm(100万分の10)くらいになると、中毒症状が発症するようです。単位が分かりにくいですね。10ppmだと、0.001%です。空気中にほんの少しでも硫化水素が存在すると危険だということです。

温泉だとその濃度を超えている場合も多いですが、短時間の入浴ならば平気なようです。たまに、温泉でも硫化水素の事故が起きますね。

お探しのコンテンツは見つかりませんでした:朝日新聞デジタル
朝日新聞デジタル:どんなコンテンツをお探しですか?

酸欠は、酸素が足りないということですが、細かい話をすると少し複雑です。

現代の空気中の酸素濃度は21%くらいです。実は、空気中の酸素濃度は、年々減っているそうです。昔は25%くらいあったそうです。

昔の方が酸素がたくさんあったので、昔の人の方が現代人より健康だったなんて言われています。化石燃料の使用や森林伐採などによって、年々酸素濃度が減少しています。

酸素が足りないと人間は生きられません。空気中の酸素は減少していますが、人間が生活できないレベルにはなっていません。

具体的な数字で言えば、酸素濃度が18%未満に低下すると、目まいや吐き気がするそうです。

酸素濃度が10%未満くらいになると、かなりの確率で死亡します。濃度が6%未満になると、1回呼吸するだけで意識不明になるそうです。

酸欠と言うと、全く酸素がない状態を想像しがちですが、そうではないのです。

硫化水素は臭いがするので分かりやすいです。一方、酸欠の方は目に見えないし、臭いもしません。酸素が足りない場所で作業すると、気づかないうちに死んでいたりするそうです。非常に怖いですね。

この資格が設立されたりして、事故件数がかなり減ったようです。それでも、酸欠や硫化水素の事故が毎年数件はいまだにあります。

マンホールで作業の男性6人負傷 2人意識不明 茨城・取手
17日午前11時45分ごろ、茨城県取手市下高井の歩道にあるマンホール内で作業をしていた25歳と68歳の男性2人が倒れ、意識不明の状態で病院に搬送された。地上…

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者の講習概要

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者の講習は実施している団体がかなりあります。管理人は、日本産業技能教習協会が開催している講習を3日間受講しました。

最初の二日間は講義。最後の一日は実技でした。

講習の料金は、受講料19,440円、教材費2,160円。やっぱり講習は料金が高いですね。講習料金は、実施団体によって変わるようです。

講習会場

講習会場は、埼玉県民活動総合センターでした。

埼玉県民活動総合センター。酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者の講習会場。

車で行ったのですが、駐車料金が一日400円取られました。車で資格試験を受験しに行けるというのは、管理人的にかなりポイントが高いです。

会場の周りはコンビニが少なかったです。会場内には、飲食店やいろいろな種類の自販機もありました。駅からはバスが出ているようです。

会場では、他にもアスベストや有機溶剤などの講習も開催されていました。

講習の受講者層

現業系資格の受講者はおっさんが多いのですが、酸欠講習は意外と若い人が多かったです。若手の現場責任者候補の方が多かったのでしょうか?女性も1割程度いました。

中年の受講者も多かったですが、高齢の受講者はあまりいませんでした。あとは、消防の人が何人かいたようです。

【難易度】

一応テストがあるので、難易度を書いておこうと思います。

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ (1/10 超簡単)

合格率は9割以上。私が受講した日本産業技能教習協会の講習では、98%~99%の合格率だそうです。講習受講者が100名程度でした。一度の講習で1人か2人は落ちるようです。私が受講した回は、全員合格でした。

テストを実施しても採点はしない講習系の資格は多いですが、酸欠・硫化水素講習はしっかり採点をします。

特に筆記の採点はガチでした。試験に出る箇所は細かく教えてくれます。問題も超簡単です。しかし、二日目にいきなり試験なので、勉強する時間はほぼありません。不安な方は、休み時間に教科書を読むと良いかもしれません。

管理人は学科の点数が84点と微妙でした。別に試験が難しいわけではありません。かなり簡単です。まったく勉強しなくても6割ならなんとかなると思います。

管理人は早く帰りたかったので(笑)、見直しをせずに試験を強制終了させました。60点取れれば合格です。普通に講義を聞いていれば余裕だと思います。講義中に寝てしまうと、不合格になる可能性がありますね。

実技の採点はかなり甘かったですが、マジメに受講していないと落ちると思います。実技は「○○確認!」などの声だしがあります。恥ずかしいかもしれませんが、試験合格のためと思って大きな声を出しながら取り組みましょう。

講義内容

講義1日目

1日目と2日目は講習でした。教科書は用意されたものを使いました。酸欠や硫化水素の説明から始まり、酸欠や硫化水素が発生しやすい場所の説明で1日目が終わりました。

酸素欠乏作業は第一種と第二種に分かれます。第一種は酸欠の危険性がある作業。第二種は酸欠と硫化水素が発生する可能性がある作業。資格も第一種(酸欠のみ)と第二種(酸欠と硫化水素)に分かれます。

管理人も前職で地下にもぐることがありました。地下に鉄の配管などがあると、配管が酸化して酸欠状態になる可能性があります。地下で作業する場合は、酸素濃度を測ってから作業しなくてはならなかったようです。

細かいことですが、現場で作業していると気づかないことも多いです。雨水がたまっていたりしても、微生物によって硫化水素が発生する場合もあります。

一回の作業ごとに酸素濃度を測定するのは時間がかかります。それでも、事故を防止するために、安全第一で作業しなくてはなりませんね。

1日目は少し厳しめの講師でした。講習系の資格の場合、講師は受講者が寝ていようが無視する場合が多いです。1日目の講師の方は、寝ている受講者を注意していました。珍しいです。

講義二日目

二日目は、別の講師が来ました。送気マスクのメーカーの方が来ました。送気マスクは、下の写真のようなものです。ボンベを背負って、ボンベから酸素や新鮮な空気が送られます。

二日目の講義の内容は、酸欠・硫化水素の事故例や送気マスクについて学びました。管理人は送気マスクはつけたことはありませんが、防じんマスクはつけたことがあります。

防じんマスクは、とにかく息苦しくて作業しにくかったです。慣れればなんてことないのでしょうが、慣れる前に(略)。こういう器具を着用する職場ではもう働きたくないですね。

酸素の送気マスクも息苦しそうです。

筆記試験

二日目の最後に、筆記試験がありました。筆記試験を覚えてこようと思ったのですが、持出禁止と書いてあったので止めました。

基本的な問題しかでません。「酸欠は酸素濃度が18%未満である」などの短い問題が50問くらいだったでしょうか?

講義で出題される箇所を教えてくれます。講義中は眠くても寝ないようにしましょう。

実技内容

3日目は実技でした。服装は私服で良いのですが、3日目だけは動きやすい服装が必須です。

実技は硫化水素濃度の測定、酸素濃度の測定、救急そ生の3種類でした。

硫化水素濃度の測定

硫化水素濃度の測定は、硫化水素を発生させた箱の中の硫化水素濃度を測るというものでした。硫化水素を測定する機器はいろいろあるので、実施団体によって違うかもしれません。

私が受講した講習では、検知管方式というものを使いました。実技のなかでは、硫化水素の測定が一番めんどくさかったですね。

最初に2回くらい練習して、すぐに試験でした。

とにかく声だしが嫌でした。「締め付けよし!」とか、「有効期限は、○○年○○月なのでOKです!」とかいちいち声に出してやらないと試験で減点されます。

酸素濃度の測定

酸素濃度の測定も声だしが面倒でした。それでも、測定方法は硫化水素より簡単でした。

ドライアイスを入れた箱の中の酸素濃度を測りました。ドライアイスで二酸化炭素を発生させて、酸素濃度を落とすという手法です。

デジタル式の測定器だったので、かなり楽でした。

こちらも数回練習して、すぐに試験でした。

救急そ生

救急そ生は、他の講習でもよく行われます。管理人も消防が行う普通救命や上級救命の講習を受講したことがあります。ガイドラインが決まっていますので、酸欠講習で実施するものも他の講習で実施するものと大きく変わりません。

心臓マッサージと人工呼吸が試験対象でした。酸欠や硫化水素中毒の症状が出た人には、救命処置を行わなくてはならない場合があります。そのための講習でした。

管理人が受講したことのある他の救命講習の記事は、以下になります。

普通救命と上級救命という人命救助のための資格
以前、施設警備員をやっていた時、上級救命という資格を取得させられました。その時は、仕事としてイヤイヤ講習を受講していたダメ警備員でした。しかし、今考えてみると、これほど役に立つ資格はないなと思うようになりました。 意外と他人に冷たい日本とい...

こちらも数回練習して、試験でした。ダミーの人形を使って、胸骨圧迫という心臓マッサージと人工呼吸をセットで行います。

当然声だしがあります。とにかく声だしは恥ずかしがらずにやりましょう。声だしをしないと、減点対象になります。

講習修了証

受講後数日して、講習修了証が郵送されてきました。

酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者の修了証。裏面に資格詳細の記載がある。

写真は、表面です。裏面に受講した講習の種類が記載されています。受講した団体によって、修了証は変わってきます。日本産業技能教習協会の修了証はなかなかのものでした。

最後に

酸欠はあまり使う資格ではないのですが、時間があったので受講してきました。筆記試験は簡単でした。実技試験のほうが声だしもあって面倒でした。

試験官は筆記も実技もしっかり採点していました。これから受講される方は、講義は眠らずに実技は真剣に受講しましょう。そうしていれば落ちる試験ではないと思います。

なにかと役に立つ資格だと思います。個人で受講する必要はあまりないですが、会社持ちで受講できる人はラッキーだと思います。

タイトルとURLをコピーしました