2015年の12月12日にITパスポートを受験してきました。IT系の国家試験なだけあって、いつも受験する資格試験とは会場の雰囲気がまるで違いました。勉強し過ぎとは思っていましたが、試験の結果は、想像以上の高得点でした。
狭い試験会場にカメラが10台以上!!
試験を受験して驚いたのは、そのセキュリティのすごさ。狭いパソコンルームで試験を受験したのですが、試験室全体を撮影できるくらいの台数のカメラが設置されていました。
最初に手渡されたのは試験案内用紙。試験室には携帯電話を含めた私物が持ち込み禁止でした。携帯を試験室に持ち込んだだけで不合格になるという注意書きまでされていました。
荷物をすべてロッカーに入れた後、試験室のパソコンルームに入室しました。試験室に持ち込めるのは身分証明書だけでした。
試験はパソコンでの受験ですが、筆記用具とメモ用紙が用意されていました。
私が受験した会場は、他のIT系試験も開催されるパソコンスクールでした。IT系試験のセキュリティが厳しいのか、国家試験のITパスポートが特別きびしいのかは分かりません。
試験教室は取調室か!?と思うくらいの雰囲気でした。
受験者は若い人が多かった
受験者は若い人が多かったです。設備系の資格試験だと中年が多いのですが、ITパスポートは青年層が多かったです。
私のような中年がIT系資格を取得しても、就職につながらないイメージが強いです。若い受験者が多い理由もそのあたりでしょうか?
他の資格ですと、電気工事士なんかだと中年以上の受験者も多かったです。設備管理やビルメンは中年からでも就職が可能ですしね。
簿記系の資格は若い人が多かったですね。
IT系の資格は完全に若い人向けですね。中年だから受験すべきではないということではありません。若い人がIT業界を目指す足がかりとしてちょうど良いと思います。
試験用のディスプレイが小さかった
試験を受験していて思ったのは、とにかくディスプレイが小さかったこと。正確には分かりませんが、14インチとか15インチ程度だったと思います。
ディスプレイサイズは、会場によって違うようです。
特に中問に解答する時、文字を130%から100%に縮小しないと問題文と選択肢の全体が見られませんでした。中問は2016年の3月で廃止になるので、今後はあまり影響がないかもしれません。個人的には、もっとディスプレイのサイズが大きい会場で受験したかったです。
ディスプレイの大きさは結構大事なので、余裕のある方は試験会場に問い合わせても良いかもしれません。
試験は長丁場
中問が廃止される前の試験時間は、全100問で165分。2016年3月からは、全100問で120分。
内訳は、
ストラテジ系(経営全般):35問程度 マネジメント系(IT管理):20問程度 テクノロジ系(IT技術):45問程度 |
監視された密室での闘いです。今まで受験した資格試験で一番息苦しかったです。
試験が早く終われば途中退出もできます。見直しもせずに試験終了ボタンを押しました。結局、管理人が受験者10数名のなかで一番早く退出しました。それでも50分強かかりました。
1時間も小さい画面とにらめっこ状態だったので、試験終了後にどっと疲れが来ました。特に中問の長い問題文を読むのが疲れました。中問が廃止される2016年3月以降に受験すべきだったと激しく後悔しました。
ITパスポート試験結果レポート
ストラテジ系
ストラテジ系が奇跡の満点でした。ストラテジ系はITの知識というより、社会常識と英語の略語の問題だと思います。社会人の基礎知識があれば難しくないのかなと感じました。
株をかじったことがある人なら、経常利益とかROEとかは簡単だと思います。個人情報保護法や知的財産権の問題も常識レベルしか聞かれません。点数を伸ばすには、そういう知識よりも英語の略語をどれだけ覚えているかでしょう。
SCM=Supply Chain Managmentなどの3文字略語が多いです。
マネジメント系
マネジメント系は、どちらかというと開発寄りの問題が多いと思います。完全にユーザー側の管理人にとっては、オブジェクト指向とか開発手法とか正直まったく分かりません。
勉強していてもマネジメント系は一番出来が悪かったです。マネジメント系は問題数が少ないので、得意な人は高得点が出やすい分野だと思います。
テクノロジ系
テクノロジ系は、ちょっとしたパソコンオタクなら余裕の問題が多い印象です。一番ITっぽい分野だと思います。普段パソコンでネットを徘徊している管理人にとっては、一番勉強しやすい分野でした。
パソコンを自作して設定できる人には、無勉強でもある程度点数が取れる分野だと思います。ハードウェア系の問題も問われるのですが、どちらかというとネットワーク系の問題が多かった印象です。ネット時代の影響でしょうか。
ITパスポートの勉強時間
全体的に思ったより結果が良かったです。
ITパスポートの勉強を開始した時点で、すぐ受験してもいけるかもと感じました。勉強期間は32日間で合計30時間13分勉強して、総合でなんとか900点台に乗りました。
ITパスポートに合格するためというより、上位資格を受験するための勉強という意味合いが強かったです。
ITパスポートの難易度
★★☆☆☆☆☆☆☆☆ (2/10 易しい)
今まで受験した資格試験の中でもかなり簡単な部類でした。仕事でパソコンを使う社会人なら無勉強で合格できる人もいると思います。
ITの知識を問う試験ですが、社会常識や基礎的な国語力も問われます。
私が受験した技術系資格と比較すると、危険物乙4よりは少し簡単に感じました。IT業界だけでなく、幅広い人材を対象にしているので広く浅く知識を問う試験という印象を受けました。
ITパスポートの合格率
過去の合格率 (平成29年1月まで)
受験年度 | 合格率 |
平成23年 | 40.7% |
平成24年 | 41.0% |
平成25年 | 47.6% |
平成26年 | 47.9% |
平成27年 | 47.4% |
平成28年 | 48.3% |
平成29年 | 50.4% |
平成30年 | 51.7% |
令和元年 | 54.3% |
令和2年 | 58.8% |
令和3年 |
合格率は右肩上がりです。試験が簡単になっているというよりは、毎年過去問が公開されるので年々勉強しやすくなっているのだと思います。2016年3月に中問が廃止されて、予想通り合格率がさらに上がってしまいました。
中問廃止後は合格率が一時的に落ちましたが、基本的に合格率は右肩上がりです。
ITパスポートは社会人が有利!?
ITパスポートは、ビジネス関連の問題も多いです。学生にとっては少し難しいかもしれません。実際、学生の合格率は、社会人より20%程度低いです(平成27年12月の社会人の合格率は56.0%に対し、学生は34.0%)。平均点も50点以上差があるようです。
IT系と非IT系の受験者の比較
社会人の受験者では、IT系より非IT系の受験者の合格率が高いです(平成27年12月のIT系社会人の合格率は50.8%に対し、非IT系は59.3%)。非IT系でこの資格を受験するのは、私のような試験慣れしている資格マニアや通称「意識の高い社会人」が多いからかもしれません。
平均点はIT系の受験者の方が非IT系より高いみたいです。IT系の受験者は、高得点で合格する人とそれ以外の人の格差が大きいのかもしれません。IT系の会社に勤めていたら強制的に受験させられる人もいると思います。自分の専門でもやる気がなければ合格しないでしょう。
一方、非IT系の社会人の受験者は、自発的にITパスポートを受験する人が多いと思います。そういったやる気の差がこの結果なのでしょう。
中問廃止後の合格率
平成28年3月から中問が廃止されました。注文廃止後の平成28年3月分の合格率は44.0%で、中問廃止前より3%ほど合格率が落ちました。
誤差の範囲とも言えるので、小問の試験内容自体はあまり変わっていないと推測します。
中問は問題文が長く、読解力や国語力が要求されました。逆に小問は、知識問題がメインで知ってるかどうかの勝負です。小問は知識を知らないと正解できませんが、中問はよく読めば正解が拾える問題も多かったです。
中問が廃止されたことで、ITパスポートは暗記がメインの試験になりました。勉強しなくても正解が拾えた中問は、受験者にとっては案外簡単だったのかもしれません。中問が廃止になって合格率があがると思っていたので、少し意外でした。
結局、合格率は一時的に落ちただけだったようです。ITパスポートは年々合格しやすくなっています。
ITパスポートの問題
ITパスポートの試験問題は、「著作権」の関係で公表してはいけません!!との注意書きがありました。
全体的に過去問と似た問題は多かったですが、まったく同じ問題はほぼなかった気がします。聞いたことのない用語も出題されました。これくらいの公表ならセーフでしょう(笑)
初級シスアドとITパスポート
管理人は約10年前に初級シスアドに合格しました。
当時は何も分からず、過去問を暗記しただけでした。ほとんど理解しないまま試験だけ合格しました。初級シスアドでは、問題文や正解の選択肢がまるっきり同じという問題も出題されていた記憶があります。
初級シスアドは過去問の丸暗記だけで合格できましたが、ITパスポートは丸暗記だと少し厳しいと感じました。
問題自体はほぼ過去問と似たレベルだと思いますが、ITパスポート CBT試験では、過去問と丸っきり同じ問題はほぼなかったと思います。
初級シスアドは、完全にユーザー側の資格という位置づけでした。ITパスポートはユーザー寄りの資格だとは思いますが、開発側の基礎知識も問う試験なのかなと感じました。
IT業界なんてさっぱり分からん管理人の適当な感想です。
ITパスポートの勉強方法
管理人は過去問だけの勉強でした。最初に過去問で勉強してみて、「行ける!!」と思ったので参考書で勉強しませんでした。やはり資格試験は過去問命!です。
ITパスポートはネットの過去問だけで合格できる
ITパスポートは過去問の勉強だけで合格できると思います。
知識の暗記問題がメインなので、参考書も過去問でよく問われる知識の解説がメインです。過去問を解きながら分からない部分をネットで調べるという方法が一番効率が良いと思います。
最初に過去問を解いてみてなにも分からないと言う人は、参考書が必要かもしれません。
管理人の経験から言うと、ほとんどの資格で一番効率の良い勉強方法は過去問演習です。どうせ参考書で勉強しても、最後は過去問演習をすることになります。可能な人は最初から過去問で勉強するべきだと思います。
本試験は過去問とは微妙に問題が違いますが、聞いてくることは過去問と同じです。過去問を丸暗記しようとすると不合格になるかもしれませんが、適切に過去問演習をすれば過去問だけで合格可能だと思います。
過去問を解く時は、過去問の解説を読んで分からない言葉を必ずネットで調べました。選択肢(1)を選んで問題に正解しても、選択肢(2)~(4)までの選択肢についても意味を調べたり、どこが違うのかを考えながら勉強しました。
過去問で正解にならなかった選択肢が再度出題されていた気がします。
最初は調べながらの勉強なので、過去問演習は時間がかかると思います。勉強していくうちにスピードがあがり、短時間で大量の過去問が解けるようになるはずです。公開されている1000問以上の過去問を反復演習するくらい勉強すれば、確実に合格が見えてくると思います。
過去問の勉強は、ITパスポート過去問道場さん を利用させて頂きました。しっかり解説も掲載されており、参考書など使わなくてもこのサイトだけで合格できました。試験本番もパソコンでの受験なので、勉強もパソコンで問題を解くというのは合理的だと思います。
暇な時間に過去問を解いたので、何周過去問を回したかは分かりません。試験前のレベルは、ランダムに出題される過去問で常時90%以上正解できる状態でした。
必殺のアルファベット3文字略語
ITパスポートは英語の試験でもあります。ストラテジ系が満点だったのは、私が英語に強かったからだと思います。試験用語には、アルファベット3文字略語がやたら多いです。
略語を見たらとにかく英語に直しました。
例えば、RFPやRFIという言葉があります。略さずに英語で書くと、RFP=Request For Proposal(提案を要求する)、RFI=Requset For Information(情報を要求する)と、英語で理解するとそれがそのまま答えになります。
もはや単なる英語の勉強です。英語に苦手意識のない方は、アルファベット略語は英語に直して覚えると頭に入りやすいと思います。
ITパスポートに出てくる英語のレベルは、高校生レベルであまり難しくありません。略語は元の英語を意識するのがおすすめです。
管理人は非IT系の受験者なので、実際に英語の略語を職場で使うのかは分かりません。英語の略語が飛び交う職場なんて想像できませんね。
最後に
ITパスポート試験では、珍しく試験前に緊張でおなかが痛くなるという症状が発症しませんでした。どの試験もこんな感じなら良いのですが…最近は合格ラインぎりぎりでの勝負が多くなっており、胃に穴が開きそうです。
試験前に緊張でおなかは痛くなりませんでしたが、試験後に疲労で頭が痛くなりました。1時間も集中してパソコンのディスプレイを凝視していれば疲れないわけがありません。
ITパスポートの試験自体は、仕事でパソコンを使う社会人なら少し勉強すれば誰でも合格できる試験だと思います。学生にとっては少し難しいかもしれません。
受験時に採点がされるのですが、合格ラインを越えていてもその場で合格ではないようです。合格証書を受け取って初めて合格なようです。
私の場合、受験から一月半ほどして自宅に合格証書が到着しました。

次のIT資格の受験予定は、平成28年度の基本情報技術者試験です。IT資格の受験は自己啓発の部分が大きいです。