施設警備員3点セット・3種の神器

警備にも、施設警備、交通警備、雑踏警備などいろいろな種類があります。そのなかでも、比較的人気があるのは、施設警備でしょうか?そんな施設警備にも、基本となる三つの資格があります。3点セットや3種の神器と呼ばれています。

そんな3つの資格を紹介してみようと思います。

施設警備員。基本的に屋外で仕事をすることは少ない。

現場で働くために必要な3点セット

日本でもっとも施設警備の仕事があるのは、建物や施設が多い東京です。そんな東京の施設警備員として働くために必要なのが、警備員3点セット(3種の神器)です。

警備員3点セット(3種の神器)とは、自衛消防技術認定、防災センター要員・自衛消防業務講習、上級救命講習の3つです。

自衛消防技術認定と自衛消防業務講習は名前が似ていますが、まったくの別物です。

自衛消防技術認定は、自衛消防技術試験という試験に合格すると取得できる資格です。自衛消防業務講習は、講習で取得できる資格です。東京都では、自衛消防業務講習は防災センター要員講習とセットで実施されています。

自衛消防業務講習が必要な人は、自衛消防隊の管理者クラス。自衛消防技術認定が必要な人は、自衛消防隊の中心隊員クラス。大雑把にまとめすぎかもしれません(汗)。

東京都やその周辺で施設警備員として働くには、この3つの資格が要求される場合が多いです。東京都以外でも、自衛消防業務講習が必要なこともあります

この3つの資格を紹介していきます。

東京都で必要な資格、自衛消防技術認定

自衛消防技術認定は、東京都限定の資格です。

大きな建物などで自衛消防隊が作られます。その組織内で中心的な役割を担う自衛消防活動中核要員として活動するために必要な資格です。

火災や地震が起こった際に、避難誘導したり、怪我人の救護をしたりします。

3点セットのなかで唯一試験らしい試験があります。筆記試験だけでなく、実技試験もありまり、防災の試験としては、非常に完成度の高い試験です。そんなこともあってか、東京都限定の試験のはずなのに、地方から受験しにくる人も少なくありません。

自衛消防活動中核要員に選ばれるのは、警備員だけではありません。その建物につとめている人ならば、誰でも選ばれる可能性があります。警備員だけでなく、多くの職種の人がこの試験を受験しています。

防災の基本的な試験で非常に役に立つ

自衛消防技術試験は、防災の勉強をする上で非常に役に立つ試験です。防災系の資格は、講習で取得できるものが多い中、しっかりとした試験を実施しているのが自衛消防技術試験です。

筆記試験に合格するためには、知識をしっかり覚えていないと合格できません。本試験でも、参考書と同じ問題はほぼ出ないので、丸暗記が通用しません。

実技試験も、自分で試験を想定した練習をしないと、なかなか合格点が取れません。

受験者の能力をはかるという点では、非常によくできた試験です。施設警備員を目指している人は、この資格に合格しておくと、一目おかれることになるでしょう。

また、この試験は受験料金が安く、1年に何度も開催されています。仕事で必要ない人が、自分で受験してみても、学ぶことの多い試験だと思います。

管理人が今まで受験した資格のなかで、役に立つという意味では、上位の資格だと思います。

自衛消防技術試験の難易度

★★☆☆☆☆☆☆☆☆ (2/10 易しい)

合格率は、6割~8割程度です。簡単な試験回は7割~8割程度やや難しい試験回で6割~7割程度です。

筆記試験の合格率が7割~9割程度です。実技試験の合格率が8割~9割程度です。

管理人が受験した回は、筆記試験の合格率が8割強。筆記と実技を合わせた試験合格率が79.2%でした。実技試験の合格率は、9割前後でしょうか。

合格率を見ると、資格試験のなかではかなり簡単な部類です。

警備の知識以外にも、危険物や簡単な化学の知識があると、筆記試験で有利になります。

自衛消防技術試験の難易度や勉強方法については、以下の記事にまとめてあります。

自衛消防技術試験合格体験記
自衛消防技術試験は、施設警備員が取得するべき警備員3点セットの一つです。この記事では、自衛消防技術試験の難易度、参考書、勉強方法、管理人の体験談等を紹介していきます。 【受験概要】 【資格名称】自衛消防技術試験 【受験年度】平成28年度 【...

防災センターに勤めるために必要な資格、防災センター要員

防災センター要員も、東京都限定の資格です。東京都では、防災センター要員と自衛消防業務講習の二つがまとめて開催されます。

二日間の講習で1日目が学科で、2日目が実技です。実技では、実際の防災設備を使って火災を想定した実演を行います。

防災センター要員は、下のような火災報知設備がある防災センターという部屋で設備を監視・操作するために必要な資格です。ただし、東京都限定です。東京都の防災センターでしか通用しません。他の都道府県は、無資格でも防災センターで監視・操作ができます

防災センターは、その建物の防災や設備の中心的な部屋です。すべての情報が集まります。防災センターには、機械の故障や火災の警報などにいつでも対応できるように設備員や警備員が詰めています。

防災センター要員・自衛消防業務講習の情報を、以下の記事にまとめてあります。

防災センター要員・自衛消防業務再講習まとめ
新規の防災センター要員・自衛消防業務講習を受講してから約5年たったので、再講習を受講してきました。この記事では、防災センター要員・自衛消防業務再講習の体験談を紹介していきます。 資格の有効期限は受講日以降の最初の4/1から5年以内 少し資格...

東京都限定の防災センター要員と全国で通用する自衛消防業務講習

防災センター要員は、東京限定ですが、同時に取得できる自衛消防業務講習は全国で通用する資格です。大きな建物で防災のリーダー的役割を果たす人(統括管理者及び本部隊の各班の班長)は、自衛消防業務講習を受講する必要があります。

東京都では、防災センター要員とセットになっていますが、他の都道府県では、自衛消防業務講習単独で受講できます。

防災センター要員の内容は、防災センターで防災設備を使った実演がメインです。自衛消防業務講習は、災害を想定した対応や防災設備を使った実習がメインです。

自衛消防業務講習と自衛消防技術認定は別物

何度も言いますが、自衛消防業務講習と自衛消防技術認定は別物です。

自衛消防業務講習は、講習で取得でき、防災のリーダー的役割を果たす人の日本全国の資格。要は、指揮官の資格です。

自衛消防技術認定は、試験で取得でき、自衛消防隊の中心を担う人の東京都限定の資格。要は、上級兵隊の資格です。

東京都の防災センターで働くなら、両方の資格を持っておいて損はありません。その他の都道府県の防災センターで働くならば、自衛消防業務講習を受講しておくと良いかもしれません。

あらゆる職場で必要とされる上級救命講習

あらゆる職場で必要とされる資格。それが上級救命講習です。講習で取得できますが、3年ごとに再講習の受講が必要です。

講習ではAEDの使い方や救命措置などを学びます。AEDとは、公共施設などには必ず設置してある赤と白の箱です。あなたの職場にもあるかもしれません。

警備員3点セットの上級救命講習で使用するAED.

非常に役に立つ資格で、警備員以外にも、主婦、学生、介護職、スポーツインストラクターなど幅広い人が受講します。

救命措置をするのに資格は必要ないですが、正しい知識は必要です。あなたの家族が倒れた場合なども、この講習を受講していれば、適切な対応を取ることができます。

施設警備でも、施設内で人が倒れたら、この講習で受講したことが役に立ちます。

消防署などで実施される公の講習です。受講料も安いです。無料の自治体も多いです。施設警備の面接の前にこの講習を受講していたりすると、イメージが良いかもしれません。

救命講習にもいろいろ種類があります。普通講習はよく実施されていますが、警備員3点セットに当たるのは、終日実施される上級救命講習です。

上級救命講習に関する情報は、以下の記事にまとめてあります。

普通救命と上級救命という人命救助のための資格
以前、施設警備員をやっていた時、上級救命という資格を取得させられました。その時は、仕事としてイヤイヤ講習を受講していたダメ警備員でした。しかし、今考えてみると、これほど役に立つ資格はないなと思うようになりました。 意外と他人に冷たい日本とい...

東京都で働くためには3点セットを持っている方が有利

東京都の施設警備員で働くには、この警備員3点セットを持っていた方が有利です。特に防災センター要員と自衛消防技術認定は、法律で有資格者を配置することが決められています

また、資格を使わない現場でも、契約で有資格者を配置しなくてはならない場合も多いです。

上級救命は、法律や契約で有資格者の配置が決められていることは多くありません。ただ、上級救命は料金も安く、講習で簡単に取れます。資格が必要な現場は少ないですが、施設警備員の常識として持っておく必要があるでしょう。

東京の警備会社ですと、これらの資格を持っていると資格手当がつくこともあります。

逆に、東京以外の施設警備ですと、無資格で大丈夫な現場が多いです。たまに自衛消防業務講習が必要な現場があるくらいです。

3点セット以外にも、国家資格の施設警備2級などがありますが、あまり需要はないようです。同じ国家資格の交通警備2級は人が足りないようですが、施設警備では、施設警備2級より3点セットの方が重要です。ただし、東京都とその周辺限定です。

警備員3点セットの重要性

「施設警備で働きたいから、3点セットを取ろう!」と考える人もいるかもしれません。そのやる気は素晴らしいです。きっと素晴らしい施設警備員になれると思います。

ただ、入社前に資格を取る必要はありません。もちろん、持っていた方が良いですが、入社するのに資格を求められることはほとんどありません。

有資格者しか採用しない!という会社は良い会社ではありません。

3点セットと言っても、二つは講習で取れる資格です。資格を取るのにお金もかかります。資格が必要と言っても、資格がないと働けないわけではありません。入社してから資格を取得していっても遅くないのです。

有資格者しか取らないという会社のなかには、「できれば資格取得費用を会社で負担したくない…」といった事情も見え隠れします。そんな会社で働いても未来はありません。

施設警備員として働くなら、「資格は会社で取らせるからうちで働いてくれ」という会社で働きたいものです。

3点セットを持っていても給料があがることは少ない

3点セットは東京での施設警備に必要な資格ですが、持っていても給料があがることは少ないです。資格手当がつくことはありますが、給料があがることはあまりありません。

3点セットを取っただけでは給料はあがりませんが、持っていることで有利な資格です。

私が以前勤めていた会社では、正社員の登用条件が警備員3点セットを持っていることでした。もちろん、勤務態度や上司の評価などの方が重要ですが、3点セットを持っていないと正社員登用の審査もしてもらえませんでした。

いずれにしても、東京で施設警備員として働くなら、3点セットを取得した方が良いのは間違いありません。入社前に取る必要はありませんが、会社から「資格を取得してくれ」と言われたら、必ず取得した方が良いです。

警備において資格より大切なもの

警備員3点セットについて紹介してきました。

資格は大事です。でも、施設警備において資格よりもっと大事なものがあります。

それは、人間性ややる気です。

ほとんどの警備会社は、入社時に資格の有無を問いません。それは、応募者の資格ではなく、人間性ややる気を見ているからです。

施設警備員として働くならば、資格は入社後に取れば良いのです。警備員3点セットを持っていれば有利になりますが、働くのは資格ではなく、あなた自身です。

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