電験3種について多くの記事を書いてきましたが、自分の勉強法を書くのを忘れていました。私はどうしても電験3種に合格したくて、自分なりにできることはすべてやりました。そんな私の電験3種勉強法を紹介しようと思います。
まずは理論から始める
電験3種の勉強を始める時は、まずは理論から勉強を始めましょう。理論の計算問題が他の科目の勉強をする時に役に立つからです。
電験3種は、電気計算の試験です。理論科目は、その電気計算を中心に勉強します。電気計算の基礎である理論を最初に勉強するのは、理にかなっています。
もちろん、最初から電気計算がある程度分かる人は、他の科目から勉強を始めても良いと思います。高校や大学の物理でしっかり電気分野を勉強した人などは、すでに電気計算の基礎ができていると言えます。
理論の次は自分の好きな科目を勉強しよう
理論の勉強がある程度終わったら、自分の好きな科目を勉強して良いと思います。
理論と並行して他の科目を勉強しても良いと思いますし、理論の参考書を1冊終えてから、他の科目に手を付けても良いと思います。いずれにしても、理論を過去問まで完璧にしてからでないと、次の科目に移れないというわけではありません。
理論以外の3科目は、暗記中心の法規、範囲の広い機械、最近難化傾向の電力。いずれも特徴のある科目が控えています。
どの科目を勉強しても良いと思います。4科目すべてを1年目に受験しない人は、しっかり勉強する科目を選択しましょう。
それぞれの科目の特徴や勉強時間の目安は、以下の記事にまとめてあります。

1年目から4科目すべてを受験する人は、理論以外はどの科目から勉強しても問題ないと思います。
テキストを読むより問題を解くことを優先
何事も実践が大事です。電験3種の勉強でも実践が大事です。
電験3種の勉強で実践と言えば、問題を解くことです。極論を言えば、電験3種は問題を解くだけで合格可能です。
テキストを普通に読んでいるだけでは実践とは言えません。テキストを読んで何となく理解した気になっても、実際は理解していないケースが多いです。
テキストを読むならば、テキストの太字や重要項目を紙に書き写しながら読まないと実践にはなりません。
勉強の時間が余ったら、テキストを読むのではなく、1問でも多く問題を解きましょう。
テキストは知識の確認に使う
テキストは何に使うかというと、二つ使い方があります。
まずは、問題を解く前にテキストを軽く読む使い方です。テキストは軽く読むだけで十分です。電験3種のテキストをじっくり読んでも、内容を理解できることはほとんどありません。なぜなら、電験3種は電気の基礎的な資格だからです。
基礎的な勉強をしただけで、電験の内容をすべて理解できることなんてありえません。
もう一つのテキストの使い方は、知識の確認です。問題を解いた時に分からない部分をテキストで復習するのです。テキストを読んでも理解できないかもしれません。それでも、知識や解き方をテキストで確認はできます。
索引がしっかりした完全マスターのような参考書ならば、辞書のように使うこともできます。
参考書は最初に軽く読む。じっくり参考書を読むのは、分からないところを確認する時だけで十分です。時間が許す限りたくさん問題を解くのが合格への近道です。電験3種を理解して合格するのは難関です。それに比べて、問題や解き方を覚えて合格するのは簡単なのです。
分からなくても問題を解く→すぐに解説を読む
電験3種の勉強を始めると、分からない問題が出てくると思います。分からない問題ばかり出てくると言い換えた方が良いかもしれません。
そんな時、やる気を失ったり、考え込んだりしてしまうかもしれません。でも、心配しないでください。ほとんどの人は、最初は同じような状態からスタートです。
私も最初はほとんどの問題が解けませんでした。上の写真は、私の電験3種の参考書です。×印が多いですね。×印は、「まったく問題が解けなかった」という意味です。
まったく分からない問題も、2回、3回と繰り返すうちに理解できてきました。
「分からない問題ばかりだ」と嘆く勉強を始めたばかりのあなた。それは正常です。皆、そこからスタートしていくのです。
問題が分からなくても、まずは自分なりに解いてみましょう。問題を解く手がまったく動かないならば、すぐに解説を見てしまっても構いません。
考え込んでも分からない問題は大抵分かりません。試験本番なら、分からない問題も考え抜く覚悟が必要ですが、勉強する時はすぐに解説を読んだ方が効率的です。
ただし、解説だけはしっかり読みましょう。解説すら理解できない問題もあると思います。管理人も最初はそうでした。解説を読んでも最後まで理解できない問題もありました。
ただ、解説が理解できない問題が続くようであれば、何かが足りないかもしれません。
理論の計算問題の解説を読んでも理解できなければ基礎から始める
理論から勉強を始めたが、解説すら理解できない。
このケースは対策が必要です。
何の下準備もなしに、電験3種の理論の勉強を始めていませんか?
もしそうならば、電気数学の勉強から始めてみてください。実は、電験3種の勉強をいきなり始められる人は、電気や数学の基礎がある人だけなのです。
下のような電気数学の参考書を1冊勉強してみてください。今まで分からなかった電験3種の問題の解説が理解できるようになるかもしれません。
知識を問う文章問題の解説は理解できなくても気にしない
電験3種は電気計算がメインの試験ですが、文章問題も難しいです。

管理人は、文章問題の方が計算問題より難しいと思います。
文章問題は知識を問う問題です。分からない人には、解説を読んでも分からないと思います。特に実務経験が浅い人は、理解できない問題が多いと思います。
単純に知識を問う問題から、実務的な問題、さらには時事問題まで出題されます。しかも、電験3種は問われる知識の範囲が広いです。正直、すべての範囲をカバーするのは無理です。
知識を問う文章問題は、理解できなくても大丈夫です。逆に仕組みや原理を問う問題は理解できるようにしましょう。
知識を問う文章問題は、知っているか知らないかの問題です。しかも、同じ問題はまず出題されません。分からないからと言って、対策しようとしても、範囲が広すぎて無理です。参考書にのっていない知識も出題されますが、参考書にのっている知識だけ覚えれば十分です。
逆に仕組みや原理を問う問題は、しっかり勉強しましょう。発電や機械の仕組みなどがこれに当たります。これらの問題は似たような問題が出題されます。見たことのない問題でも、原理や仕組みを理解していれば、正解が拾えます。
日にちを置かずに解けなかった問題を解く
どんな勉強でも繰り返しが大事です。
問題を解く時に、どのような方法でも良いので、自分のその問題に対する理解度を記録しておきましょう。
そして、解けなかった問題を日にちを置かずに解いてみましょう。
問題を復習する時は、なるべく時間を置かない方が良いです。管理人は、次の日に前日に解いた問題を復習していました。朝解いた問題を、その日の夜に復習するという形でも良いです。
問題の理解度は参考書に印をつけておく
管理人は、参考書に○△×で自分の理解度を書き込みます。

参考書をきれいに使いたい方は、ノート、携帯、パソコンなどにメモを残しましょう。とにかく、自分のその問題に対する理解度が分かれば良いと思います。
電験3種は、繰り返し同じ問題を勉強する必要があります。理解できた問題を何度も解いても効率が悪いです。理解できていない問題だけ繰り返し解くために、理解度の把握は必須です。
問題が解けるようになるまで繰り返し解く
参考書の問題や過去問は、理解度を把握しながら完璧に解けるようになるまで勉強します。と言っても、すべての問題を完璧に解けるようになるまで勉強するのは無理です。
勉強しているうちに、どうしても解けない問題が出てくると思います。10回も20回も分からない問題を繰り返し勉強しても逆に効率が悪いです。
管理人が解けなかった問題を繰り返して勉強した回数は、4回~5回でした。もちろん、2回や3回で問題が解けるようになったら、その問題はもう繰り返しません。
今度は日にちを置いて問題を解いてみる
問題をある程度繰り返し勉強したら、次は日にちを置いて問題を解いてみます。
間を置く期間は、個人の自由で良いと思います。管理人も1か月だったり、2か月間だったり、問題や科目によって期間がバラバラでした。
このように勉強すると、以前は理解していた問題も解けなくなったり、他の勉強が進んだことで解けなかった問題が分かるようになったりします。
1冊参考書が終わったら過去問を解き始める
よくある質問だと思います。
電験3種の場合、参考書が1冊終わったら過去問の勉強に入るべきだと思います。参考書も1冊を完璧に仕上げてからではなく、1冊の参考書を一通り勉強したらもう大丈夫です。
なるべく早く過去問の勉強をすることで、自分の実力と本試験で出題される問題のレベルの差を感じることができます。
可能な人は、参考書で勉強を始める前に過去問を見ておくのもおすすめです。
参考書の勉強と過去問の勉強ときっちり分けるのではなく、参考書で勉強をしながら、過去問演習もするという形がおすすめです。
ある程度勉強が進んだら、考える勉強をする
最初は、分からなかった問題は解説をすぐ見るべきです。しかし、ある程度勉強したら「考える勉強」も必要です。
自分が解けた問題でも、解説と解き方が違うこともあると思います。そういう場合は、解説の解き方とどこが違うか考えてみたりする必要があります。
最初のうちは、自分が導き出した答えが正解ならばそれで良いと思います。余裕が出てきたら、少しでも多くの問題の解き方を覚えるべきだと思います。
いろいろな解き方を知っていれば、試験本番で応用がききます。違う解き方がありそうな問題ならば、「この問題はこういう解き方でも解けるな」と考えながら勉強しましょう。
こうすることで、応用力があがります。
とにかく色々な問題を解く
応用力を上げる方法は、もう一つあります。それは、いろいろな問題を解きまくることです。管理人は上で述べた考えながら勉強することが苦手だったので、とにかくいろいろな問題を解くことで様々な解き方に触れて応用力をあげました。
自分が知っている問題の数=自分が知っている解き方の数=応用力です。
電験3種は、各科目1冊の参考書と過去問だけで合格できる試験ですが、多くの参考書や古い過去問でいろいろな問題に触れることで合格できる確率を上げることができます。
過去問と並行して他の参考書の問題も解いてみる
電験3種はいろいろな参考書があります。参考書の中身の問題は、電験3種の過去問が多いですが、独自の問題などもあります。
メインの参考書以外にも参考書を購入してみるのもおすすめです。簡単な例題が多く基礎固めに向く実況出版の徹底解説テキスト、内容が詳しいオーム社の完全マスターなどいろいろな種類の参考書があります。
管理人は、参考書をたくさん買って問題集のように使っていました。参考書によって、問題の解き方が違ったりして勉強になると思います。
以下の記事では、管理人がメジャーな参考書についてまとめてあります。参考にどうぞ。

10年、15年以上前の過去問も解いてみる
参考書の勉強が進んだら、今度は過去問に進みます。
電験3種の過去問と言えば、電話帳。黄色い表紙の目立つやつです。
電気書院から発売されているこの過去問は、10年分しかありません。
10年分だと物足りないと言う人もいると思います。管理人はどうしても合格したかったので、10年分以上の過去問を勉強しました。10年分以上の過去問を勉強するには、オーム社の科目ごとの15年分の過去問がおすすめです。
さらに昔の過去問を演習したいとなると、以下のオーム社の過去問が非常におすすめです。
20年以上の過去問を演習すれば、自信を持って本番にのぞめるはずです。さらに昔の過去問となると、解説が詳しくないものしかありません。過去問はある程度解説が詳しくないと勉強しにくいので、更に昔のものはおすすめしません。
月刊誌を定期購読して、月刊誌の問題も解いてみる
独自問題を多く解く方法として、月刊誌の購読があります。新電気や電気計算
が有名です。管理人も受験時に電気計算を1年間購読していました。
各月の誌面には、4科目すべての独自問題がのっています。管理人は、問題演習用に電気計算を購読していました。
問題を解くためだけに1冊の雑誌に1000円以上払うのは高いですね。ただ、最近の電験3種は実務的な知識も出題されます。暇な時間に電気計算や新電気などの記事を読むと、思わぬところで役に立つ可能性があります。
大きな本屋ですと、これらの雑誌が立ち読みできたりします。購入する前に一度中身を見てみると良いと思います。
電気計算や新電気の定期購読やバックナンバー検索
上記の二つの月刊誌は、公式サイトで定期購読やバックナンバーの購入ができます。
オーム社の新電気のサイトはこちら
電気書院の電気計算のサイトはこちら
送料が無料のAmazonが便利ですが、Amazonには在庫がなく購入できない時も多いです。
ネットの問題も解いてみる
時間があまれば、インターネット上の問題も解いてみましょう。
電験3種の昭和時代の過去問を掲載している電験3種WebHandMadeさんは、非常に貴重です。市販の過去問集では、解説が少ないかなり昔の問題を丁寧な解説付きで掲載しています。
また、実況出版さんのサイトでは、過去15年の電験3種の問題を解説付きで掲載しています。このサイトがあれば、過去問は買わなくても良いかもしれません。
この2つのサイトは、電験3種の勉強で非常に役に立ちます。
仕上げに予想問題を購入してみる
一通り過去問や問題集を解いたら、予想問題を解いてみると良いでしょう。

毎年予想問題集を発売しているのは、電気書院の電験問題研究会とオーム社の電験三種対策研究会です。月刊誌の電気計算などにも試験が近くなると模擬試験が掲載されます。
予想問題集の中身
私は平成24年度の電験問題研究会(電気書院)の予想問題集を購入しました。各科目ごとに5セットの本試験形式の予想問題が収録されています。
難易度にはバラつきがありました。1セット目は簡単で90点取れたけど、2セット目は難しくて60点行かないという感じでした。全体的に簡単な問題が多かったです。平成29年版は、各科目本試験形式で3セットの予想問題が収録されているようです。
自分の実力を確認できる良問もありましたが、当時は全体的に物足りない印象でした。予想問題集は毎年新しく発売されますので、今年はどうなのかは分かりません。
本試験の問題は多くの偉い先生方で作り込んでいます。それと同じ質を出版社に求めるのは酷かもしれません。
電験三種対策研究会(オーム社)の予想問題集の方は、毎年電気書院のものよりは少し歯ごたえがあると評判です。問題の質が高いかと問われると何とも言えません。各科目本試験形式で3セットの予想問題が収録されているようです。
予想問題は、古いものでも構いません。出題予想は当たりませんので(笑)。古い予想問題が安ければ、買ってみても良いと思います。
新電気と電気計算
新電気の8月号や電気計算の9月号には予想問題がのっています。
上の予想問題集を出版している出版社と同じですが、雑誌の予想問題の中身はまた違います。問題演習や力試し用には良いかもしれません。過去のバックナンバーも購入できますので、興味がある方は調べてみてください。
予想問題集の予想は当たりません。なので、古い予想問題集が安く買えれば、そちらを購入しても良いと思います。
予想問題集は、いろいろな問題を初見で解く良い練習になります。本番のように時間をはかって解いても良し。1問1問じっくり考えながら解いても良いと思います。
問題演習優先、繰り返し、質より量
電験3種に凡人が合格するための勉強法は「質より量」です。問題を繰り返し解くことによって知識の定着を図ります。それと同時に、いろいろな問題を解くことで応用力をあげます。
考えながら勉強できる人は、少ない時間で合格できます。それができない人は、1000時間単位の時間を使って、量をこなすことが求められます。
電験3種は、努力次第で誰でも合格できる試験と言われます。その努力とは、問題演習量にほかなりません。管理人も電験3種に合格するために、たくさん問題演習をしました。
電験3種に合格するために、自分の手を動かし、1問でも多く問題を解きましょう。そうすることで、きっと「合格」への扉が開かれるはずです。