電験3種の科目合格勉強法

電験3種には科目合格という制度があります。この制度をうまく使えば、時間のない人でも電験3種に合格できます。私も働きながらの受験でした。

最初はオームの法則すら忘れていました。当時、バイト警備員だった私には、電気など畑違いもいいところです。電験3種の受験を決めたのは試験日の約半年前。

残業も多く、時間も基礎知識もない状態からのスタートです。これでは一発で4科目を合格するのは無理だと思いました。そこでこの科目合格を利用することを考えました。

電験3種の勉強をするためのノートとボールペン。

科目合格という制度

私は科目合格を上手に利用することで、2年間で電験3種に合格できました。

電験3種は、理論・電力・機械・法規の4科目です。電験には科目合格という制度があり、1度合格した科目は以降2年間免除されます。

その間に4科目すべてに合格すれば、晴れて免状取得です。ただし、どうしても一つだけ受からない科目があったりすると…永遠に合格できません。当然ですね。

ある科目を合格してから2年間経過し、全科目合格できず3年目の受験になると、2年前に合格した科目が復活します。

【不合格例】(科目免除が2年で切れる例)

年度理論電力機械法規
1年目×合格◎×合格◎
2年目合格◎免除○×免除○
3年目免除○免除○×免除○
4年目免除○再受験再受験

上の例は、現実にありえそうなパターンです。

1年目に理論と法規が合格。2年目は電力に合格したが、機械は不合格。3年目に機械を1科目受験するも不合格。

そうすると、4年目には1年目に合格していた電力と法規が復活。4年目で電験3種に合格するには、2年目に合格した理論以外の3科目に合格しないといけません。

【合格例】

年度理論電力機械法規
1年目合格◎××合格◎
2年目免除○合格◎×免除○
3年目免除○免除○合格◎免除○
電験3種合格!!

上のパターンは3年かけて合格を勝ち取ったパターンです。

電力や法規は比較的合格しやすいです。科目合格を利用すると、理論や機械が残ってしまう場合が多いかもしれません。

【管理人の場合】

年度理論電力機械法規
1年目合格◎欠席×欠席×合格◎
2年目免除○合格◎合格◎免除○
電験3種合格!

 理想は一発合格

電験3種の受験は、1年目から4科目を万全の状態で受けるのが望ましいと思います。つまり一発合格を目指すのが理想だと言えます。そして受からなかった科目を2年目、3年目の受験で合格を目指すという形が効率的です。

管理人が考える一発合格するために必要な勉強時間

理論:100時間~1000時間
電力:150時間~1000時間
機械:150時間~2000時間
法規:50時間~500時間

過去問演習だけで合格できる大学電気科卒やトップレベルの理系卒は例外です。それ以外の人は、電験3種を合格するのに、500時間~1000時間程度かかるのではないでしょうか。中学レベルの数学から勉強が必要な人なら、1500~4500時間かかっても不思議ではありません。

これはあくまでも順調にいった場合です。受験した科目が運悪く不合格になり、数年単位で電験3種に挑戦する場合、数千時間単位の勉強時間が必要かもしれません。

いずれにしても、1000~2000時間の勉強時間を確保すれば、十分勝負になると思います。

一発合格を目指すべき理由

電験3種は科目によって年度ごとの難易度が違います。ある年は理論が簡単で機械が難しい。また、ある年はその逆で理論が難しく機械が簡単。こういう試験なのです。

つまり常に全科目受ければ、自分の苦手科目が簡単な年度にあたる可能性が高くなります。全科目受験ならば、受験者の多くが苦手とする機械を簡単な年に受験できるかもしれません。

受験年度の難易度の差を利用する為にも、すべての科目を1年で受験するのが望ましいです。私の場合、1年目に受けた法規がちょうど難しい年に当たりました。科目合格制度を利用する場合、自分が受験した科目が簡単な年に当たるかどうかは運次第です。

電験3種は4科目すべてがつながっている

一発合格を目指すもう一つの理由としては、電験3種の科目ごとのつながりがあります。電験3種では、電力で学んだ知識で法規の問題が解けたり、理論を学んでからでないと他の科目が理解しにくいといったことがあります。

このような科目のつながりもあるので、できるだけ1年目から全ての科目を受験すべきです。

科目合格を利用した勉強法

それでも時間がない場合や長時間勉強するのが苦手な場合は、科目合格制度を利用する選択肢もあります。1年に1~3科目を受験する事で、エネルギーを特定科目に集中できます。

この方法の利点としては、科目の勉強が中途半端になりにくい事です。時間がない状況で無理に4科目すべてを受験しようとすると、必ず勉強にかたよりがでます。

特定の科目の勉強が不十分なまま受験しても、その科目の合格は難しいでしょう。科目を絞って、時間と労力を集中させる方が効率が良い場合もあります。1科目でも合格すれば翌年の負担も減ります。そして科目合格を積み重ね、電験3種の合格を目指すことになります。

科目合格を利用した勉強法の基本

科目合格制度を利用して合格を目指す場合、計画期間は2年とすべきです。

2年で合格できない場合にのみ、3年目の受験を考えるべきです。万が一3年目で受験した科目が不合格だと、1年目に合格した科目が復活してしまいます。

1年目は必ず理論を受験しよう

この複数年での電験3種受験計画では、必ず最初に勉強するのは理論とすべきです。なぜなら理論が分からないと、他の科目で分からない所が出てくるからです。暗記科目の法規でさえも、理論の電気計算が理解できないと合格するのは難しいです。

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1年目は理論+αで行く方法がおすすめです。私はそれ以外の選択肢は効率が悪いと思います。ここでは1年目に理論を受験することを基本として、いくつかの組み合わせを考えてみます。

1年目に理論のみ

電験3種に申し込んでみたけど、過去問を見て難しさにビックリ!!

なんてよくあるパターンだと思います。

そういう場合は、理論1科目の勉強でもいいと思います。全科目勉強するより、理論だけ勉強した方が翌年以降につながる場合もあると思います。

1年目に理論のみ受験する場合の必要勉強時間

想定勉強時間:100時間~1000時間
管理人の場合:150時間

電験3種の受験申込みが5月~6月。

試験本番が9月上旬。

勉強に使えるのは3ヶ月前後。

1日平均2時間勉強して180時間。

電気数学から勉強する必要がある人は、理論だけの受験でもぎりぎりのラインだと思います。高校数学が得意だった管理人で理論の勉強時間は約150時間です。

理系卒なら100時間未満で理論に合格できる人も多いはずです。それ以外の人は、数学の勉強が不要な人で100時間~200時間。数学から勉強すると150時間~1000時間くらいでしょうか?

1年目に理論と法規

最もポピュラーなのは、1年目に理論と法規を受験する方法です。2年目には電力と機械の合格を目指します。特に数学に不安がある人や勉強時間がない人にお勧めです。

数学に不安がある人は理論を勉強する前に、電気数学の基礎を勉強する必要があります。これが結構なボリュームです。

これをこなしてから理論の勉強に入ると、必然的に勉強時間が足りなくなります。

そこに勉強時間が少なくてすむ法規を組み合わせるのです。

電験3種の受験を思い立ったのが遅く、1年目の勉強期間が短い人にもお勧めです。全ての基礎となる理論をまず勉強し、残りの時間で法規を勉強するのが基本となります。

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1年目に理論と法規を受験する場合の必要勉強時間

想定勉強時間:150時間~1500時間
管理人の場合:300時間

理論に100時間~1000時間、法規に50時間~500時間で合計で150時間~1500時間と計算しました。管理人は、理論に150時間で法規に100時間の合計250時間でした。

法規は計算問題の対策に時間を割く必要のない人は、勉強時間が少なくて済みます。

勉強しない科目の受験

私は電験3種の受験を思い立ったのが、3月下旬でした。働きながらの受験という事もあり、時間がありませんでした。なので、1年目は理論と法規のみを受験しました。

この受験方法だと1年目に理論の試験が終わってから、法規まで約5時間もの空き時間があります。私はその間勉強も手につかず、何もやることがなく非常に退屈でした。

私は1年目の電力と機械の試験は、教室にも行かず欠席しました。今考えると、一応受験して適当にマークシートをつけても良かったかもしれません。

それで合格点を取るのは天文学的な確率でしょう。それでも何もしないよりはマシだと思いました。欠席した科目は、問題用紙も持ち帰れません。翌年の受験のためにも出席するべきだと思います。その間少しでも勉強したいという人は、素直に欠席した方が良いかもしれません。

1年目に理論と電力

私が受験し終わってから良いかもと思ったのは、1年目に理論と電力を受験する方法です。2年目には機械と法規を受けることになります。

最初に理論を勉強するのは当然として、2科目目に電力を持ってきます。電力は勉強量が勝負の科目です。勉強量が必ず点数にあらわれます。

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電力は引っ掛けがあまりなく、素直な問題が多いです。勉強範囲は広いので、法規の数倍の勉強量が必要です。理論の勉強時間以外に十分な勉強時間が取れる人は、電力がおすすめです。

さらに余裕があるという人は、法規も受けてしまうと良いと思います。法規と電力は計算問題が一部被ります。この受験方法だと、法規を受けなければ試験当日は待ち時間がありません。

1年目に理論と電力を受験する場合の必要勉強時間

想定勉強時間:250時間~2000時間
管理人の場合:600時間

理論に100時間~1000時間、電力に150時間~1000時間で合計で250時間~2000時間と計算しました。管理人は、理論に150時間で電力に350時間の合計600時間でした。

電力も、計算問題の理解度によって必要となる勉強時間に差がでると思います。

1年目に理論と機械

今まであげた電験3種の受験方法は、電験3種の最難関科目である機械を1年目に避けているという欠点があります。私も機械が大の苦手でした。今でも苦手意識があります。

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機械に受かるかどうかが電験3種に受かるかどうかだと、言い切ってしまっても過言ではないです。それくらい問題に癖があり、範囲が広いです。機械に1年目から挑戦し、機械が簡単な年度に当たることを祈るという方法もかなり有効だと思います。

そういった意味で、1年目に理論と機械を受験するというのも、合格への本気度が見えた選択だと思います。機械の勉強はかなり大変ですので、十分勉強時間が取れるという事が前提です。この2科目に受かれば、99%電験3種は合格だと思います。

電力は勉強量をしっかり取れれば、落ちる科目ではないです。法規も平成23年度や24年度以外の年なら、勉強量と合格の確率が比例すると思います。

1年目に理論と機械を受験したとします。たとえ不合格でも2年目の受験では1年目の貯金があります。その貯金にさらに勉強時間をプラスして、もう一度この2科目or1科目(+α)に挑戦してみても良いと思います。

1年目に理論が合格して、機械が落ちたとします。2年目の勉強期間は1年間あります。1年目に不合格だった機械をさらに勉強して受験するにしても、残りの電力と法規にも十分な勉強時間が取れるはずです。

1年目に理論と機械を受験する場合の必要勉強時間

想定勉強時間:250時間~4000時間
管理人の場合:600時間

理論に100時間~1000時間、機械に150時間~3000時間で合計で250時間~4000時間と計算しました。管理人は、理論に150時間で機械に450時間の合計600時間でした。

機械はセンスの問題なんでしょうか?機械音痴の管理人は、機械科目がサッパリ理解できませんでした。機械に苦手意識がない人は、高い確率で電験3種に合格できると思います。

1年目に科目合格してモチベーションUP!

1年目に1科目でも合格した方が、モチベーションの維持という点では優れていると思います。なので、1年目の受験科目の理論+αの+αの部分は、電力や法規をおすすめします。

勉強は継続が大事です。1年目から機械の難しさに打ちひしがれるよりは、1科目でも多く合格して2年目のモチベーションを上げる方がよいと思います。

最近の電験3種の傾向

最近の電験3種は、かなり試験傾向が変わってきました。

機械がすごく簡単になったり、電力や法規が難しくなったりしています。毎年難しい科目がコロコロ変わります。簡単な科目も毎年変わります。

ここ最近の傾向ですと、理論がかなり難しくなっているようです。

科目合格を目指す方は、どの科目を先に勉強しようか迷うかもしれません。

なるべくなら簡単な科目を受験したいですよね?

電験3種の傾向としては、前年に難しかった科目は少し易しくなる傾向があります。前年のどの科目が難しかったかどうかは、合格率を見ればだいたい分かります。

こちらのページを見て、過去の合格率を確認してみましょう。

数年連続で合格率が低い科目はねらい目です。逆に最近ずっと合格率が高い科目は難しくなる可能性があります。

もちろんこの法則も確実ではありません。受験科目は自己責任で決定してください。

最後に

繰り返し言いますが、電験3種は1年目から4科目全力で受験するのがベストです。

しかし、受験者にはいろいろな条件や制約があります。複数年かけて電験3種の合格を目指す科目合格を利用した勉強法というのもアリだと私は思います。

独学で電験3種に合格しよう
初学者が独学で電験3種に合格するには、1000時間単位の勉強が必要と言われます。管理人も計測していない時間を合わせると、1000時間以上電験3種と向き合いました。電験3種を独学で勉強することで、電気の基礎知識以上のことが学べる人も多いと思い...
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