電験3種の計算問題と公式と単位の関係

電験3種に合格できるかどうかは、計算問題が解けるかどうかが全てです。理論は計算問題が約8割、最難関と言われる機械も約6割は計算問題です。文章問題のイメージが強い法規でさえも、計算問題の配点が意外と大きいです。

電卓を使い電験3種の計算問題を解こうとする女性。

公式は覚えるもの

計算問題は、公式を使って解くことになります。よく公式を覚えるのは邪道だと言う人がいますが、公式は覚えるものだと思います。

管理人は、ただ単に公式を覚えるのではなく、計算問題を解く時には公式の単位を意識していました。普段から単位を意識することで、試験本番でも何問か正解を拾うことができました。

SI基本単位を意識しよう

SI基本単位

N=kg\cdot m/{ s }^{ 2 }W=kg\cdot m^2/{ s}^{ 3 }J=kg\cdot m^2/{ s }^{ 2}

ここら辺がスラスラ出てくる人は、この記事を読んでも得るものはないかもしれません。

私は、N(ニュートン)やW(ワット)などの単位をこのようにとらえています。このとらえ方をすると、無理やり計算問題を解いたり、あやふやな公式を思い出すことができます。

kg(キログラム)やm(メートル)などは、SI基本単位と呼ばれます。SI基本単位には、s(秒)、m(メートル)、kg(キログラム)、A(アンペア)、K(ケルビン)、mol(モル)、cd(カンデラ)の7つがあります。電験の勉強をしている人なら、すべて何の単位だか分かると思います。

SI組立単位

電験3種で使う単位は、ほとんどSI基本単位で表せます。SI基本単位を組み合わせて表せる単位を、SI組立単位と呼んだりもします。上の例では、N(ニュートン)、W(ワット)、J(ジュール)をSI基本単位の組み合わせで表しています。

少し変わったところでは、抵抗のΩ(オーム)もSI組立単位で表せます。

\Omega =\frac { { m }^{ 2 }\cdot kg }{ { s }^{ 3 }\cdot { A }^{ 2 } }

私もここまでは意識していません。

基本的に力のN(ニュートン)、エネルギーのJ(ジュール)、仕事率のW(ワット)の3つをSI基本組立単位で意識しています。電験3種の問題(特に電力や機械)でも、単位がジュールやワットの答えを求めさせることも少なくありません。

SI基本単位の計算

そしてSI基本単位で表せる単位同士は、単位の計算ができます。

N\cdot m=(kg\cdot m/{ s }^{ 2 })\cdot m=kg\cdot m^2/{ s }^{ 2}=J

といった感じです。

次元的にN・m(ニュートンメートル)がJ(ジュール)と等しいというだけのことです。N・mとJは別物ですが、単位を意識しながら機械的に計算問題を解く時は同じようなものです。

SI基本単位と計算問題の解き方

SI基本単位の計算という見方から公式を見てみます。

例えば位置エネルギーの公式は、

E(J)=mgh です。

この公式をSI基本単位から見ると、

E[kg\cdot { m }^{ 2 }/{ s }^{ 2 }]=m[kg]\cdot g[{ m }/{ s }^{ 2 }]\cdot h[m] となります。

これを単位だけの計算にしてみると、

kg\cdot { m }^{ 2 }/{ s }^{ 2 }=kg\times { m }/{ s }^{ 2 }\times m と式が成立するのです。

基本的な運動エネルギーの公式ですと、

K(J)=\frac { 1 }{ 2 } mv^2

SI単位だけの計算として見ると、

kg\cdot m^2/{ s }^{ 2}=\frac { 1 }{ 2 } \cdot kg\cdot (m/s)^2

と考えられます。

運動エネルギーの場合、1/2という係数がつくので例としては良くないかもしれません。私はこの考え方をすることで、強引に問題を解いたり、公式の確認ができるようになりました。

要素のSI単位を意識して計算問題を解く

ある問題で、エネルギー(J)を求めよと言われたとします。問題文には、いくつかの要素が与えられます。その要素は、重さ(kg)や速さ(m/s)かもしれません。

解き方が分からなければ、問題文で与えられた要素同士の単位に注目します。その単位をSI単位に直してから、掛けたり割ったりして、エネルギー(J)のSI単位であるkg\cdot m^2/{ s }^{ 2}になる解き方を探すのです。

その計算で出た答えが選択肢にあれば、それが正解の可能性が高いです。

実際にはこんなに単純ではありません。しかし、この考え方を普段から意識することで、試験本番で困ったときに強引に解くという選択肢が使えるようになります。

公式もSI単位を意識する

私は公式を覚える時も、単位を意識しました。公式も単なるアルファベットの羅列でなく、単位の計算として見られるようになると、記憶に定着しやすいです。

単位を意識していれば、うっかりミスも減ります。また、公式の記憶があいまいな時は、公式の単位を計算することで、覚えている公式が正しいかの確認もできます。

すべての公式で単位を意識するのは難しいと思います。SI単位で表すと逆にややこしくなる公式も多いです。ただ、今まで単位を意識していなかった人が、公式や計算問題で単位を少し意識するだけでもだいぶ違うと思います。

最後に

もし計算問題が苦手だという方は、こういう考え方も試してみてもいいかもしれません。ただし、この解き方が通用しない問題も多いです。ただ、考え方として頭の片隅に入れておくだけでも何かの機会に役に立つと思います。

実際に電験より単純な冷凍2種の問題を単位の計算で解いています。冷凍2種は、公式をまったく覚えず試験本番を乗り切りました。電験3種の問題はもっと複雑ですが、同じ考え方を応用して正解を拾える問題はあります。

冷凍2種学識科目の計算問題の解き方1
冷凍機械責任者試験は、2種から計算問題が入ってきます。しかし、冷凍2種レベルの計算問題なら公式を覚えなくても数遊びで解けてしまいます。実際に管理人は、公式を覚えずに平成27年度の試験を受験してなんとか合格できました。 計算問題が冷凍2種の心...

今まで単位を意識したことがなかった人は、少し単位を意識してみるだけでもだいぶ違うと思います。問題文の単位って実はすごいヒントなんです。

独学で電験3種に合格しよう
初学者が独学で電験3種に合格するには、1000時間単位の勉強が必要と言われます。管理人も計測していない時間を合わせると、1000時間以上電験3種と向き合いました。電験3種を独学で勉強することで、電気の基礎知識以上のことが学べる人も多いと思い...
タイトルとURLをコピーしました