冷凍機械責任者試験は、2種から計算問題が入ってきます。しかし、冷凍2種レベルの計算問題なら公式を覚えなくても数遊びで解けてしまいます。実際に管理人は、公式を覚えずに平成27年度の試験を受験してなんとか合格できました。
計算問題が冷凍2種の心のオアシス
近年、冷凍試験の難易度が右肩上がりです。平成27年度に実施された冷凍2種の全科目受験者の合格率は13.7%でした。ちょっとした難関資格試験並みです。そんな鬼のような試験でも難化していなかったのが計算問題でした。
計算問題は落とせない
冷凍2種では、計算問題は学識の最初の2問だけです。以前ならば、計算問題を落としても他でカバーできました。今の冷凍2種は、計算問題の2問を必ず正解して他をカバーしなくてはならないレベルの試験です。
令和に入って大分難易度が下がりましたが、それでも計算問題には正解した方が当然有利になります。
計算問題は公式を覚えてもいいですが、単位の計算を意識すると公式を完全に覚えなくても解けますし、ミスも減ると思います。
平成27年度冷凍2種の計算問題
問1
R410A 冷凍装置が下図の理論冷凍サイクルで運転されている。圧縮機の実際の軸動力が 80kW であるとき、実際の冷凍能力は何kW か。
ただし、圧縮機の断熱効率
は0.80、機械効率
は0.90とし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は吐出しガスに熱として加わるものとする。また、配管での熱の出入りおよび圧力損失はないものとする。
問1の解き方
大まかな流れとしては、与えられた数字から冷媒循環量(kg/s)を求めて、冷凍能力(kW)を求めるといった感じになるでしょうか。
ここで注目するのは単位です。
求めたいのは(k)Wです。
W(ワット)は、 と見ます。J(ジュール)は、
です。このように見ることで単位同士の計算ができます。
kg、m(メートル)、s(秒)などは、SI基本単位と呼びます。冷凍2種レベルでは、W(ワット)とJ(ジュール)をSI基本単位で表した形を覚えておくだけですべての計算問題に対応できます。
まず、冷媒循環量(kg/s) を求めます。圧縮機の軸動力が80 kWで与えられており、圧縮機出入り口の比エンタルピー差がグラフから 484-414=70 (kJ/kg) と読めます。ここで二つの数字の単位を計算して、(kg/s) にするのです。
W(ワット)は、、J(ジュール)は、
なので、J/kgは、
です。
kWをkJ/kg で割ると、
つまり、kWの単位をkJ/kg で割ると目的の単位(kg/s)になるのです。ここではkJとkWのk(キロ)の部分はお互い打ち消しあうので無視できます。実際に与えられた数字を使うと、軸動力80kWを比エンタルピー差70kJ/kg で割ればいいことになります。
ここで注意すべきは、問題文で与えられる断熱効率と機械効率です。冷凍2種では、与えられた数字はほぼ必ず解法で使います。ここでは、軸動力の効率は100%より小さいと考えて、軸動力に断熱効率と機械効率を掛けます(考え方が正しいかは不明)。
80[kw]÷70[kJ/kg]×0.8×0.9=0.823[kg/s] と求まります。効率の単位は何もありません。管理人の効率の使いどころはいつも勘です。冷凍2種の場合は、勘というより冷凍サイクルを理解していれば分かると思います。
この冷媒循環量[kg/s] から冷凍能力[kW]を求めます。[kW]を[kJ/kg]で割ったら[kg/s]が求まったので、今度はその逆で[kg/s]に[kJ/kg]を掛けてあげます。
問題で[kJ/kg]に該当する数値は、比エンタルピー[kJ/kg]になります。冷凍能力を求めるので、冷凍サイクル図の蒸発器出入り口の比エンタルピー差 414-266=148[kJ/kg] が該当する数値だと判断します。
0.823[kg/s]×148[kJ/kg]=121[kW] と求まり、これが答えになります。
最後に
この解き方はパズルみたいな感じですね。電験3種やエネ管にも応用できます。この解き方をマスターすると、技術系資格全般の計算問題にかなり強くなると思います。

平成27年度の冷凍2種の問2は以下になります。
