昔の電験3種は簡単だったのか?

ほとんどの資格試験は、年々難しくなっていきます。電験3種も例外ではありません。2010年代以降は落ち着いていますが、それ以前は年々試験が難しくなっていました。

「昔の電験3種は簡単だったのに…」

その気持ちは分かりますが、いつ取得しても電験3種は電験3種です。

昔の電験3種は簡単で良かった。ブラウン管の問題なんて出なかったし(笑)。

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昔の電験3種はどのくらい簡単だったのか

では、実際に昔の電験3種はどのくらい簡単だったのでしょうか?

いくつか例をあげてみてみましょう。

一番電験3種が簡単だったと言われる時期は、平成初頭です。

以下が平成初頭の過去問です。

※この記事では、昭和56年までの記述式時代の電験3種は考慮していません。記述式時代に合格された方は、本当に電験3種を理解されている方だと思います。昭和56年生まれの管理人が、この記事を書くのもいかがなものかと思いますがw

理論

理論は、平成7年の問題からです。

平成7年 理論 問3

抵抗率が1.72×10-8[Ω・m]の銅線と2.75×10-8[Ω・m]のアルミニウム線がある。この2本の導線の長さと重さはそれぞれ等しいものとする。抵抗の比は(銅線抵抗/アルミニウム線抵抗)はいくらか。ただし、銅とアルミニウムの比重は、それぞれ8.9及び2.7とする。

答えは、2.1 です。

うーん、簡単ですね。

第一種電気工事士の問題だと言われても、驚きません。

第一種電気工事士の問題だと、

A、B 2本の同材質の銅線がある。Aは直径1.6〔mm〕、長さ40〔m〕、Bは直径3.2〔mm〕、長さ20〔m〕である。Aの抵抗はBの抵抗の何倍か。

答えは、8倍 です。

問題の難易度は大して変わりません。比重の部分が少し迷うくらいでしょうか?第1種電気工事士に毛が生えた程度の問題です。

平成7年 理論 問7

電圧 V=√2Vsinωt[V] をある負荷に加えた時、電流 I=√2Icos(ωt-π/3)[A] が流れた。この負荷の力率[%]はいくらか。

答えは、86.6(進み) です。

問題が簡単なのもありますが、問題文も短いです。これも第1種電気工事士+αレベルですね。交流を理解した上で、ベクトル図が書ければ解けます。

今の電験3種ですと、問題文が短いものは、文章問題や図を見て答えさせる問題ばかりです。昔の電験3種には、問題文が短い問題ばかりでした。

同じ平成7年の問題を2つ取り上げました。たまたま簡単な問題が出題されたわけではありません。昔は、このレベルの問題が数多く出題されていたのです。

電力

電力は、平成6年以前の6科目時代は発変電と送配電に分かれていました。せっかくなので、発変電と送配電の両方から取り上げてみます。

平成6年 発変電 問6

水車の比速度とは、[(ア)]の有効落差のもとで、[(イ)]の出力を発生するように、原水車を幾何学的に相似に保ちながら大きさを変えて得られる水車の毎[(ウ)]の回転速度をいう。

答えは、1m、1kW、毎分 です。

比速度の定義を問う問題です。電力を勉強すると、最初の方で勉強します。ひねりも何もありません。昔は今と比べて参考書が豊富ではありませんでした。こういう問題でも解答するのが大変だったんでしょうか?

いきなりこういう問題を出されたら大変だったのかもしれません。

次は、計算問題を見ていきます。

平成6年 発変電 問21

貯水池の最高水位は標高233[m]、最低水位は標高152[m]、反動水車ランナの中心の標高は13[m]、放水口の水位の標高は8[m]のダム式水力発電所がある。この発電所の最高水位と最低水位における最大発電力の差はいくつか。ただし、発電所の最高水位における水車の最大使用水量は10[m3/s]、水車・発電機の総合効率は常に80[%]、損失水頭は無視するものとし、また、放水口水位は流量によって変わらないものとする。なお、流量は有効落差の1/2乗に比例するものとする。

答えは、8600[kW] です。

基本的な計算問題です。有効落差さえ求められれば、P=9.8QHηの公式に当てはめるだけで解けます。これなら公式を覚えるだけで合格できるかもしれません。

次は、送配電です。

平成6年 送配電 問7

電線のたるみを0.8倍にするには、電線の水平張力を何倍にすればよいか。ただし、電線及び径間の条件は不変とし、電線の伸びは無視する。

答えは、1.25倍 です。

昔の計算問題には、公式を覚えるだけで解ける問題が多いです。文章問題は、出題例がない分野から出題されると厳しかったのかもしれません。

それでも全体的にみると、電力も簡単ですね。

マークシート式の6教科時代が難しかったと言われるのは、科目合格制度がなかったからでしょう。問題自体は基本的な問題が多いと思います。

まぁ、電験3種って基本的な問題が出題されるはずなんですけどね。難しい問題が出題されるようになった近年の電験3種が異常なのかもしれません。

機械

機械も、平成6年以前の6科目時代は機械と応用に分かれていました。せっかくなので、機械も両方から取り上げてみます。

平成5年 機械 問4

端子電圧200[V]、電機子電流50[A]、回転速度1000[rpm]で運転中の直流分巻電動機がある。負荷が変化して電機子電流が25[A]になったときの回転速度[rpm]の値はいくつか。ただし、電機子回路の抵抗は0.1[Ω]とする。

答えは、1013[rpm] です。

今でも似たような問題が出題されますね。

以下は、近年の出題からです。

平成28年 機械 問1

電機子巻線抵抗が0.2Ωである直流分巻電動機がある。この電動機では界磁抵抗器が界磁巻線に直列に接続されており、界磁電流を調整することができる。また、この電動機には定トルク負荷が接続されており、その負荷が要求するトルクは定常状態においては回転速度によらない一定値となる。

この電動機を、負荷を接続した状態で端子電圧を100Vとして運転したところ、回転速度は1500min-1であり、電機子電流は50Aであった。この状態から、端子電圧を115Vに変化させ、界磁電流を端子電圧が100Vのときと同じ値に調整したところ回転速度が変化し、最終的にある値で一定となった。この電動機の最終的な回転速度の値を求めよ。

ただし、電機子電流の最終的な値は端子電圧がのときと同じである。また、電機子反作用及びブラシによる電圧降下は無視できるものとする。

答えは、1750[min-1] です。

似たような問題ですが、最近の問題の方が問題文が3倍くらいあります。最近の問題も難しくはありませんが、問題文を読むのに時間がかかりますし、計算量も多いです。

同じような問題でも確実に難化しています。

平成5年 機械 問6

同期電動機に関する記述のうち、誤っているのはどれか。

(1) 速度が一定である。
(2) 乱調、同期はずれを起こす心配がない。
(3) 界磁電流により力率が調整できる。
(4) ギャップの長さが大きく、据付け及び保守が容易である。
(5) 一般に始動トルクが小さく、別に始動装置が必要となる場合がある。

答えは、(2) です。

うーん、簡単ですね。

文章問題も、問題文や選択肢の文章が昔の方が短いです。

今の参考書は、昔に出題された問題をもとにして作られています。だから、今の受験者が昔の問題を見ると、余計簡単に見えてしまうのかもしれません。

次は、応用科目です。

平成5年 応用 問4

立体角0.125[sr] 中に120[lm] の光束を放射しているとすれば、光源のその方向の光度[cd] はいくらか。

答えは、960[cd] です。

このレベルだと、参考書の例題レベルです。正直、こんな問題が出題されていたなんて信じたくありません。今も照明の分野からは簡単な出題がありますが、このレベルはないでしょう。

簡単な問題ばかり探しているわけではありません。昔の過去問から記事にしやすい問題を適当にピックアップしているだけです。

6科目時代も記述式とマークシート式だと大きな差があるのかもしれません。

法規

最近の法規は、易しくなったり、難しくなったりいそがしいですね。昔の法規は、常に簡単でした。平成23年から突然難しくなりました。平成22年以前は、過去問だけで合格できる難易度だったと言われています。

平成5年 法規 問2

使用電圧が300[V]以下の一般の屋内電路では、電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗値は、規定された開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、電路の対地電圧が[(ア)][V] 以下の場合は[(イ)] [MΩ]以上、その他の場合は[(ウ)] [MΩ] 以上でなければならない。

答えは、150V、0.1MΩ、0.2MΩ です。

正直、電気工事士レベルの問題です。法規に関しては、平成22年以前の問題の難易度は総じて低いです。法規だけ科目合格した人が多かった時代もありました。

最近の法規は、出題傾向が変わってきています。法規は難しくしようと思えば、簡単に難しくできます。これからは、参考書をすみまで勉強しないと合格できなくなるかもしれません。

簡単すぎ!?昔の電験3種

「簡単すぎ!!」と思うかもしれませんが、これらは電験の基礎です。今も基本の部分は変わっていません。これらの問題の応用が、今の電験3種で出題されています。

昔の過去問を演習してみると、基礎固めにはなります。

昔の過去問は、オーム社の20年分の過去問集で勉強できます。

合格率でみる電験3種

最近では、合格率10%未満が当たり前な電験3種。平成初頭や昭和末期では10%を割ることはありませんでした。

平成7年に現在の4科目1日制になる前は、6科目2日制でした。科目合格制度もありませんでした。それでも、問題を見てみると、どれも基本的な問題ばかりです。

昔は、合格率が低い時で10%台前半。高い時は15%以上ありました。最高の合格率は、平成8年の16.7%です。

最近は、合格率が低い時で5%ちょっと。高い時で10%に届かない位です。最低の合格率は、平成23年の5.5%です。

よく、昔の電験3種は難しかったという人がいます。その理由を聞くと、「科目合格制度がなかったから」とか「科目が6科目あったから」と答えます。

ただ、昔の電験3種は10人に1人は合格しています。科目合格制度がないので、今で言う一発合格です。現在の一発合格者は100人に1人程度です。

試験制度から見ると、試験は簡単になったと言えます。しかし、出題される問題を見ると、試験はかなり難しくなったと言えると思います。

「昔の電験3種は難しかった」と聞くたびに、管理人は少し違和感を覚えます。「6科目記述式時代の電験3種は難しかった」というならば同意します。

最後に

「もっと前に電験3種を受験しておけば良かった」と思ったそこのあなた。今、ある資格で同じようなことが起こっています。

それは、エネルギー管理士(電気)です。

最近までは電験3種と同じような難易度でした。そのエネルギー管理士も、難化傾向です。

電験3種を勉強している人は、同じような勉強でエネルギー管理士(電気)に挑戦できます。難しくなる前に、エネルギー管理士の取得を目指してみてはいかがでしょうか?

資格はいつ取っても同じ資格です。

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