IT業界未経験者から見た基本情報技術者試験の難易度

平成28年度春季の基本情報技術者を受験しました。平成28年度春季は例年より簡単に感じました。それでも腐っても情報処理技術者試験のレベル2の基本情報です。レベル1のITパスポートよりかなり難易度が高い印象でした。

情報処理の基本である2進数の世界。

平成28年度春季基本情報技術者は簡単だった

平成28年度春季の基本情報技術者試験は、簡単でした。勉強時間をそれほど取りませんでしたが、本番で苦労しませんでした。

平成28年度春季基本情報技術者試験を受験してきました
本日、平成28年度春季基本情報技術者試験(FE)を受験してきました。自分には十分難しかったですが、過去問と比べるとかなり簡単だったと言えるのかもしれません。IT系の試験は普段使わない頭を使うので、非常に疲れます(笑)。 試験会場 資格試験は...

午前対策に約5時間、午後対策に約50時間で、総勉強時間は54時間10分。

午前対策は、とりあえず合格点に届けばいいやという気持ちで勉強しました。結果としては、午前の正答率は87.5%で、試験時間もかなりあまりました。

午後対策では、アルゴリズムはほぼゼロからの勉強でした。言語は表計算を選択しましたが、エクセル(表計算)はマクロやVBAが分からない状態からのスタートです。

勉強してみると、特にアルゴリズムが難しいのなんのって…仕上げに過去問演習をしましたが、イマイチ自信がありませんでした。1問答えるのにすごく時間がかかりました。

午後の試験時間は2時間半ですが、時間が足りるかな~と思っていました。本番では、午後も30分ほど時間があまりました。自己採点も思ったより高得点(正答率:90.7%)で、受験した本人が一番驚いています。

資格も需要と供給の関係

最近のIT業界はかなり人材不足なようです。IT業界で働いている私の知人も、2014年ごろから途切れず仕事があるそうです。資格試験の傾向としては、その業界に人が足りないと試験の難易度が簡単になる傾向があります。

一昔前は、電気工事士の試験がかなり簡単になりました。時代的に電気工事士のようなブルーカラーのイメージが強い職業が避けられるようになりました。それによって電気工事士のなり手が減ったことも大いに関係があると思います。

逆に士業に代表されるホワイトカラーの資格、例えば社労士などは、最近は難化傾向にあります。業務が急増しているわけでもないのに、合格者を増やしても仕方がありませんからね。


基本情報技術者試験は、業務独占資格(例えば医師免許)や必置資格(必ず有資格者を置かないといけない資格、例えば保育士)ではありません。分類としては、認定資格になります。合格者は、情報処理の知識や技術が一定水準以上に達していると国から認められるだけの資格です。

単なる認定資格の基本情報技術者も、資格の需要と供給の関係が当てはまります

IT業界志望者が基本情報技術者試験に合格できれば、胸を張ってIT企業の面接にのぞめるでしょう。また企業側としても基本情報技術者試験の合格者なら、ある程度安心して採用できると思います。

現在は、国家レベルでIT系の人材を増やす流れです。平成28年度春季の基本情報技術者試験が簡単だったのはたまたまではないかもしれません。

午前試験は過去問の繰り返しでOK

基本情報技術者試験のメインは、午前ではなく午後です。午前は試験免除制度などもあるようです。午後試験だけ合格できれば合格できる試験でもあります。午前試験の免除制度に関しては、以下のリンクから確認できます。

科目A試験免除制度 基本情報技術者試験(FE) | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理推進機構(IPA)の「科目A試験免除制度 基本情報技術者試験(FE)」に関する情報です。

ただ、午前の勉強は午後の対策にもなります。また、基本情報技術者試験の午前問題で合格点が取れるレベルまで勉強すれば、自然と午後試験の問題も解けるようになっているはずです。

午前試験を免除するメリットはあまりないと思います。

 

午前の対策は、まず過去問演習をしてみましょう。管理人は、過去問道場さんで約5時間過去問演習をしただけで受験しました。過去問を解いてみてさっぱり理解できなければ、参考書が必要だと思います。

基本情報の参考書に関しては、最新版を買う必要はあまりないと思います。どうせほとんどの参考書や問題集の中身は、過去問とその解説がメインです。あまりに古い参考書や問題集は論外ですが、数年前のものなら十分だと思います。

参考書は基本を理解するためのものです。参考書にのっている問題だけで足りなければ、ネット上の過去問を解けばいいかなと思いました。基本情報の過去問はネットで簡単に探せるはずです。

資格試験の鉄則は、過去問を解きまくることです。人によっては、過去問を解くだけで午前試験は突破できるはずです。

午前試験が難しいと感じたら、ITパスポートを受験しよう

午前試験が難しいと感じたら、基本情報の下のレベルのITパスポートを受験するのもおすすめです。基本情報の午前の問題は、ITパスポートと難易度の差がそこまでありません。

管理人も、基本情報の合格を目指すのにITパスポートから受験しました。

ITパスポート合格体験記
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ITパスポートも基本情報の午前試験も聞かれるのは、言葉の意味です。「ディジタルディバイトの説明はどれか?」や「ロングテールの説明はどれか?」等の問題が出題されます。

問われるのは、知識を知っているかどうかです。ITパスポートでも基本情報技術者試験でも、試験本番で分からない言葉がありました。私の場合、分からない言葉の数が基本情報の方が多かったというだけです。

基本情報の方が多くの知識を問われますが、ITパスポートに比べて問題が複雑だったりということはありません。基本情報の午前問題を解いていて感じたのは、ITパスポートで散々問われた3文字の英語略語が少なかったということくらいです。

ITパスポートは毎月試験が開催されています。受験会場に空きがあれば、試験前日にも申込みができます。簡単に受験できる試験です。基本情報の午前問題が難しいと感じるのであれば、ITパスポートから勉強して知識を積み上げるのも良い方法だと思います。

午前試験は6割で合格です

基本情報の午前試験は、6割で合格です。分からない問題があるのは当然です。過去問演習で8割くらい取れるのであれば、十分だと思います。

私は過去問で8割程度正解できる状態での受験でした。本番では分からない問題もありましたが、6割取れればいいや!という気持ちで解きすすめました。午前対策はほどほどにして、午後対策に力を入れるのが王道ではないでしょうか?

難関は午後試験

基本情報技術者の本番は午後の試験だと思います。問1の情報セキュリティと問8のアルゴリズムが必須問題。問2~問7の6問から4問を選択。問9~問13のソフトウェア開発から1問を選択します。計7問を2時間半で解答します。

基本情報技術者(FE)の勉強に使用した参考書。

午後で選択した問題

受験者が何が得意かで選択すべき問題は変わると思います。開発経験ゼロの人間からすると、問6のマネジメント系と問7のストラテジ系の問題は、他の問題より簡単に感じました。

問5のソフトウェア設計も設計というより日本語の問題に感じました。問2~問4のテクノロジ系の問題よりまだ対応しやすかったです。

管理人は、問5~問7の3問を選択して、問2~問4のどれか1問を選択するつもりで試験にのぞみました。

本試験の問2~問4は、ソフトウェア、データベース、ネットワークの順で出題されました。ネットワークの問題が得意なIPアドレスの問題かなと思って、ネットワークを最初に解きました。一応解けたのですが、少し不安が残る状態でした。

午後試験を解き終わった後に時間があまったので、問2と問3の問題をながめてみました。よく読んでみると問3が簡単そうだったので、問4から問3へと選択を変えました。

問9~問13のソフトウェア開発は、開発経験がない人は問13の表計算一択でしょう。これからプログラミング言語を覚えたいという方以外は、表計算が一番楽だと思います。少しでもエクセルを使ったことがある方なら、スムーズに勉強に入れると思います。

結局試験本番では、問1、問3、問5、問6、問7、問8、問13を選択しました。

問1 情報セキュリティ

最近は、国をあげてセキュリティ分野に取り組んでいるようです。情報セキュリティマネジメント試験(SG)も平成28年春季から実施されています。基本情報でも2014年度から情報セキュリティが必須問題になりました。

アクセス制御や暗号化などの出題がメインです。ネットワークの問題に近いです。情報セキュリティが得意な人は、ネットワークも問題なく解けると思います。

管理人は、問1~問7の対策にアイテックの問題集を使いました。多くの基本情報の問題集の中身は、過去問とその解説です。試験制度に変更がなければ、新しい問題集も古い問題集もあまり差がないと思います。というわけで、中古の安い問題集をアマゾンで購入しました。

問2~問4 テクノロジ系

問2~問4は、ハードウェア、ソフトウェア、データベース、ネットワークの4つの分野から3問出題されます。問1の情報セキュリティが得意な人は、ネットワークが出題されると嬉しいところかもしれません。

ハードウェアが全選択問題で一番難しかったです。2進数や16進数の問題は細かいので間違えやすいと思います。コンピューターの命令実行方式、”LOAD GR,1,200 ”みたいな問題は未だに理解していません。MTBFやMTTRなどのシステム系の問題だけは、比較的簡単でした。

開発未経験者からすると、ソフトウェアが一番とっつきにくかったです。ソフトウェアは実際勉強してみると、それほど難しくなかったです。それでも、業界未経験者にとってハードウェアとソフトウェアは勉強しずらいかもしれません。

データベースは慣れだと思います。正規化はいまだにあまり理解していません。よく出題されるSQLの構文は、簡単な英語の組み合わせです。慣れると難しくないです。

ネットワークは、業界未経験者向きだと思います。自宅でインターネットの設定をしたことがある人ならば、それだけで解ける問題もあります。テクノロジ系の4分野の中では、一番勉強しやすかったです。

管理人はネットワークが一番マシなレベルだったのですが、本番ではデータベースを選択しました。テクノロジ系を極力避けて問5、問6、問7を選択しても、必ず1問はこのテクノロジ系4分野から選択しなくてはなりません。

問1の情報セキュリティが必須問題なので、それに近い問題が多いネットワークは必ず勉強すべきです。あとは好みの問題でしょうか?異様に簡単な問題が出題される場合もあるので、一通りは勉強するべきだと思います。

問5 ~問7

問5のソフトウェア設計、問6のマネジメント系、問7のストラテジ系は、知識よりも国語力が問われる問題が多いです。午前対策をしていれば、知識の暗記勉強は必要ないかもしれません。長い問題文を読んで理解できれば、それだけで解ける問題も多いです。

IT業界未経験者は、問5~問7をすべて選択する人が多いかもしれません。

問8 アルゴリズム

問8のアルゴリズムは、未経験者には難関でしょう。ゼロから対策するとなると、別に参考書が必要だと思います。

勉強開始時、管理人はアルゴリズムの問題がまったく解けませんでした。少しずつ勉強して理解できるようになりましたが、問題を解くのに時間がかかるのは変わらず。配点が20点なのもあって、問8が一番差がつく問題だと思います。

未経験者はイチから丁寧にアルゴリズムを教えてくれる参考書が必要だと思います。その点で大滝みや子先生のアルゴリズム解法は、非常に使いやすかったです。アルゴリズムも傾向が変わることはほぼないので、古い中古の参考書でも大丈夫だと思います。

問9~問13 ソフトウェア開発

開発未経験者が合格するためだけなら、表計算が一番楽だと思います。ただし、基本情報の表計算は独自の言語ですので、普段エクセルを使っている人でも参考書等で慣れておくと良いかもしれません。

問8のアルゴリズムと比べると、表計算のマクロは非常に簡単です。平成23年度秋期から表計算の問題にマクロが追加されました。それ以降の参考書であれば、古い中古のものでも問題ないと思います。


マクロがなかった時代の表計算は、とんでもなく簡単でした。今はそこまで簡単ではないですが、開発未経験者からすると一番とっつきやすいと思います。社会人であれば、表計算で勉強することが実際に役立つ可能性もあります。

午後試験全体の感想

午後試験は、相性の問題も大きいと思います。業界未経験者は、問5、問6、問7、問13を選択して、問2~問4から1問選択するのが一番楽かもしれません。

エクセルなどの表計算ソフトを使ったことがないという人は、問9~問13のソフトウェア開発は好きに選択すれば良いと思います。

問8のアルゴリズムと問9~問13のソフトウェア開発は配点も大きいので、別に対策が必要でしょう。それ以外の午後問題は、午前の勉強で意外と対応できるかなとも感じました。

最初から選択する問題を決めて、範囲をしぼって勉強するのも一つの手だと思います。一通り勉強して、本番で簡単な問題を選択するという手もあります。戦略は受験者次第です。

最後に

基本情報技術者試験は、合格率20%~30%の試験です。しっかり対策すれば高確率で合格できる試験かなと感じました。それでもアルゴリズムだけは、最後まで好きになれませんでした。

情報処理技術者試験は頭を使う試験なので、非常に疲れました。

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