職業訓練校の訓練期間は、決して長くありません。仕事に関わる実務を教えるには無理があります。そこで、訓練のメインになるのが仕事に関する資格の取得です。ビルメンを目指す人が、職業訓練校でどのような資格が取得できるかを考えてみたいと思います。
職業訓練校と資格
職業訓練校の目的は、労働者に対し、職業に必要な技能や知識を習得させることにより…要は、勉強して就職しましょうということです。
勉強にもいろいろな形があります。職業に必要となる実務的な知識を勉強するのが理想だと思います。でも、現実的にそれは難しいです。
同じ電気系やビルメン系や空調系の職業訓練を受けた人でも、それぞれ進む道が違います。電気工事士になったり、ビルメンになったり、私のように設備管理をしたりと多くの道があります。
すべてに対応した知識を教えるのは無理です。また、1年程度の訓練で実務を教えるのも無理があります。このような理由で、電気系やビルメン系の職業訓練では、実務の基礎となる資格の勉強がメインになります。
資格試験も毎月開催されるものから、1年に1回しか受験できない資格までいろいろあります。職業訓練を受講しようと考えている人は、訓練期間中にどの資格を受験するか決めてから訓練を受講するのがベターです。
取得できるビルメン系資格
受験できる主な資格は、電気系資格と設備系の資格に分かれます。
電気系資格
電工2種(第2種電気工事士)、電験3種(電気主任技術者)、低圧電気取扱者
電工2種は重要な資格です。ビルメンなどの現場の契約でも、電工2種を所有していることが条件という現場もあるようです。
可能ならば、電工2種を受験できる訓練を選ぶことをおすすめします。ただ、電工2種を受験できる訓練を受講するために、半年も待つ必要はありません。

就職活動では年齢が大事です。20代や30代の人は、とにかく1歳でも若いうちに就職することを目指しましょう。
電験に関しては、3種と同時に2種も受験可能です。訓練期間中の時間を利用して、電験2種まで合格したつわものもいるようです。電験1種を受ける人は、さすがにいないと思います。

低圧電気取扱者は、講習を受けるだけの資格です。評価はされずらいですが、やる気を見せるくらいの効果はあるかもしれません。

設備系資格
2級ボイラー技士、危険物取扱者、消防設備士、冷凍機械責任者
危険物取扱者は、危険物乙4(乙種4類)を受験する人が多いです。
危険物乙4はガソリンスタンドで働く時には必須の資格です。灯油や石油などの燃料を扱うための資格です。

乙種の他の類を取得したり、特定の条件を満たせば、危険物甲種まで受験することも可能です。危険物は決められた種類の乙種に合格すれば、甲種を受験できます。


消防設備士に関しては、消防設備士乙種はどの類でも受験できます。メジャーなのは4類(火災報知器)と6類(消火器)です。

消防設備士1類から5類までは、乙種の上位となる消防設備士甲種○類という資格があります。消防設備士甲種は、受験資格が複雑です。こちらでご確認ください。
実務未経験の高卒が消防設備士甲種を受験するには、電工2種の免状を取得してからというパターンが多いです。
裏ワザとして、第三級海上特殊無線技士という資格の講習を受講すれば、消防設備士甲種の受験資格が手に入ります。
冷凍機械責任者は、3種~1種まであります。筆記試験に合格すれば、実務未経験でも免状を取得できます。冷凍1種は普通に受験すると難関ですが、お金を払って事前に講習を受講すると、難易度がかなり下がります。

冷凍の資格がどうしても欲しい人は、お金を払って講習を受ける方が楽です。ただし講習後に実施される検定試験は、1種ともなるとそれなりの難易度です。
3種の講習と検定は非常に簡単なようです。個人的な意見としては、冷凍機械責任者の勉強は、非常にためになると思います。冷凍3種ならば、講習を使わずに試験勉強をした方が、自分のためになるかなと思います。

実務経験の関係で免状は取得できないが、受験できる資格
電工1種(第一種電気工事士)、エネルギー管理士、1級ボイラー技士
電工1種は、1年制の電気系の訓練だと強制的に受験させられる場合が多いです。ビルメンになる人でも、資格を使う人はいませんが、資格手当や出世などの面で優遇されることがあります。
エネルギー管理士なんて受ける人いないよ!と思うかもしれませんが、南大阪高等職業技術専門校に2年制の電気主任技術科では、普通にエネ管の合格者がいるようです。
1級ボイラー技士は、2級とそこまで難易度が変わりません。なので、2級ボイラー技士を取得し、お金と時間に余裕のある人は、狙ってみてもよいと思います。ビルメンの現場でも実務経験の基準を満たす職場はそれなりにあるようです。
仕事についてからは、忙しいと勉強する時間が少なくなります。訓練中は勉強に集中できます。合格できそうな資格は、免状にならなくても訓練中に合格してしまった方が良いです。就職してから実務経験を積めば、書類を提出するだけで免状は取得できます。
訓練の受講時期と資格の関係
訓練期間が1年以上ある職業訓練は、ほぼすべての資格を受験できます。ただし、ビルメン系の訓練は訓練期間が6カ月や短期の場合も多いです。そういう場合、訓練期間中に受験できる資格の選択肢が受講時期によって変わります。
いつでも受験できる資格
消防設備士、危険物取扱者、ボイラー試験等は試験会場の制限はありますが、どの期間の訓練でも基本的に受験できます。
消防設備士の甲種に関しては、ほとんどの人が受験するのに電工2種の免状が必要です。半年くらいの期間の職業訓練では、消防設備士の甲種を受験すること自体が難しいです。
私が通っていた1年制の電気系職業訓練では、電工2種を夏に受けて合格した人が、卒業間近の冬に消防設備士甲種4類を受験するというスケジュールでした。
資格は受けれるものだけでいい
資格は訓練期間中に受けれるだけ受けるといいでしょう。毎年試験開催日が変わるので、そこまで訓練期間と資格受験スケジュールを気にする必要はありません。
資格を取れば取るほど、やる気のアピールにもなります。しかし、働くのは資格ではなく、あなた自身です。
あなたの経済や時間の事情と相談しながら、自分のペースで資格を取得していきましょう。
資格受験スケジュール
受験スケジュールは、訓練校ごとに違います。訓練校であらかじめ決められたスケジュール以外の資格を受験する分には文句は言われません。むしろ推奨されるはずです。
ビルメンを目指して職業訓練校に通おうと思う人は、ぜひ、自分で資格受験のスケジュールを組み、どんどん資格を受験してください。
